アメリカ大統領選挙2024

ハリス氏、中間層減税を前面に トランプ氏は製造業保護―米大統領選

11月のアメリカ大統領選挙で、民主党のハリス副大統領候補は、乳幼児を持つ家庭への児童税額控除を大幅に拡大するなど、中間層向けの減税策を強調しました。また、法人税率を21%から28%に引き上げる提案も行い、大企業に対する厳しい措置も目立ちました。一方、共和党のトランプ前大統領候補は、追加関税による製造業の保護や法人税の減税を提唱し、企業活動の活性化を通じて経済成長を図ると主張しています。

 

カマラ・ハリスは、「元検事」として「重罪人」との対立構造を狙っているのかもしれませんが、政策論争には不安も残ります。三牧聖子・同志社大学大学院准教授の時事時評です。

 

ハリス氏は、乳幼児を持つ家庭に6000ドル(約87万円)の児童税額控除や、労働者の家庭への減税を提案し、「1億人以上が恩恵を受ける中間層の減税を実施する」と述べています。新築住宅の建設促進や、住宅購入時の平均2万5000ドルの頭金支援も提案しています。英国の調査会社は、これらの家計支援策が大きな恩恵をもたらすと指摘し、国内総生産(GDP)を0.8%程度押し上げると試算しています。

 

しかし、インフレ対策として食品価格のつり上げを禁止する法案には批判も多く、米国の食品業界は、人件費やエネルギー価格の上昇に伴う値上げと価格つり上げを混同することは「不正確で無責任」と強く反発しています。

 

これに対して、トランプ氏は「アメリカ第一」を掲げ、中国に対する関税を大幅に引き上げ、輸入品に10~20%の関税を一律に課す新法を提案し、米国製造業を保護するとともに、メキシコ製の自動車にも高関税を課すことで、「雇用を取り戻す」と主張しています。

 

また、石油や天然ガスの生産拡大によるエネルギー価格の引き下げに意欲を示し、気候変動対策を「緑の新たな詐欺」と切り捨て、バイデン政権の電気自動車(EV)推進政策を撤回すると明言しています。

 

米連邦準備制度理事会(FRB)に対するスタンスでは、ハリス氏はその独立性を重視し「決して干渉しない」と述べていますが、トランプ氏は金融政策に大統領が意見を述べるべきだとし、一定の関与を求めています。