アメリカ大統領選挙2024

「もしトラ」に固唾のむ台湾 カギ握るプレーヤーは

トランプ氏にとっての台湾とは

 台湾側の視点を反映し、「台北安全保障対話」の参加者選定が行われました。この国際会議は国防安全研究院が主催し、私も招待され参加しました。今年9月、台北101の近くで開催されたこのフォーラムには、日本戦略研究フォーラム(JFSS)を含む海外ゲストも出席しました。中でも、トランプ政権下でカナダ大使及び国連大使を務めたケリー・クラフト氏が注目を集めました。彼女は国連大使として在任中、最終的には実現しなかったものの、台湾訪問が計画されていました。

一方で、台湾はトランプ前大統領の動向に注目しています。彼は6月に、台湾の半導体産業の成長がアメリカにとって不利益であるとの見解をブルームバーグ通信のインタビューで表明しました。また、台湾は防衛費を支払うべきであり、アメリカは保険会社と同じだと述べました。

ジョン・ボルトン氏が大統領補佐官を務めていたトランプ政権時の回顧録(2020年)によれば、トランプ氏は台湾をアメリカ製油性ペンのシャーピーに、中国を大統領の執務机にたとえる比喩をしばしば用いていたそうです。これはおそらく、両者の規模の差を表現したかったのでしょう。しかし、トランプ氏が台湾に深い関心を持っていたとは言いがたい状況でした。

中国の脅威が高まる中、台湾は「もしもの事態」に備え、トランプ前大統領と関連する人物との関係を築いている。クラフト元国連大使を含む、トランプ政権下でCIA長官や国務長官を務めたマイク・ポンペオ氏などがその一例である。ポンペオ氏は過去に台湾を訪問し、2022年の訪問ではアメリカが台湾と正式な外交関係を築くべきだと発言するなど、台湾支持の姿勢を強めている。今年5月には、ライ・チンテ氏の台湾総統就任式に出席し、ハドソン研究所のマイルズ・ユー上級研究員も会談に同席した。ユー氏はポンペオ氏の中国問題に関するブレーンであり、もし第2次トランプ政権が発足すれば、対中政策で重要な役割を果たすと考えられる。

スティーブン・イエーツ元米国高官も、トランプ氏と蔡英文総統との歴史的な電話会談のアレンジに関与したとされている。第2次トランプ政権で彼らが加わることになれば、台湾との関係は一層強化される可能性がある。

第1次トランプ政権期間中の2017年から2021年にかけて、アメリカは台湾への関与を深め、台湾の防衛能力強化のためにF-16戦闘機を含む武器の売却を決定した。私の博士論文「政策情報と外交政策―米国の台湾政策に関する事例研究と『歪情報』仮説モデル」では、トランプ政権下での台湾政策を詳細に分析し、アメリカの台湾政策が連邦政府だけでなく、連邦議会やシンクタンクなど多様なアクターによって推進されていると結論付けた。そのため、第2次トランプ政権下でも、大統領以外のアクターによって台湾政策が強力に推進される可能性がある。大統領周辺との関係構築は重要である。

「台湾は太平洋のポーランドに」

もし第2次トランプ政権が発足すると、台湾政策はどのように具体化されるのだろうか。その手がかりとなり得るのは、私も出席した台北安全保障対話でのクラフト元国連大使のスピーチである。彼女はその中で、台湾が安全保障のパートナーとして重要な役割を担うことをトランプ氏が期待していると述べた。さらに、クラフト氏は中国の侵略を防ぐためには台湾が国防費を増やし、歴史的な国防投資を行う必要があると強調した。

 

クラフト氏が挙げた例はポーランドである。ポーランドの国防費は、ロシアによるウクライナ侵攻前の2021年にはGDP比2.2%だったが、2025年には5%に引き上げる計画がある。クラフト氏は「台湾は太平洋のポーランドとなるべきだ」と述べている。台湾の国防費はGDP比で、2024年の2.5%から2025年の2.45%へと僅かながら減少する見込みだ。第2次トランプ政権が発足した場合、台湾の国防費に対する不満を抱き、ポーランドを模範として、台湾に対し国防費の増額を強く求めることが予想される。

クラフト氏は具体的な装備にも言及しており、対艦ミサイル、高性能機雷、対空砲、移動式巡航ミサイル発射装置、無人情報収集・警戒監視・偵察(ISR)システムなどが挙げられている。第2次トランプ政権下では、これらを含む台湾の防衛能力強化のため、台湾関係法に基づく武器売却が実施されると考えられる。

この記事で見てきた通り、「もしトランプ」下でのアメリカの台湾政策は、多くの読者の想像に反して、予見可能性が高い。要するに、中国の脅威を考慮に入れた上で、米台間の軍事協力の進展が見込まれる。第2次トランプ政権が実現した場合、日本は日米同盟の強化に加え、日台、日米台の安全保障協力を推進する必要があるだろう。


トランプ氏、バーガー店でバイト体験 労働者層へアピール―米大統領選

共和党の米大統領候補であるトランプ前大統領は20日、選挙運動の一環として訪れたペンシルベニア州のマクドナルド店舗で、顧客に商品を手渡すパフォーマンスを披露した。この州は大統領選の勝敗を左右する重要な激戦州の一つである。トランプ氏は、一般市民に親しまれているハンバーガーショップで「アルバイト」をすることにより、労働者階級への支持を集めることを狙った。

フィラデルフィア郊外の店舗でエプロンを身につけたトランプ氏は、従業員の指導のもとフライドポテトの調理を体験し、ドライブスルーの顧客に注文した商品を直接手渡した。

報道によると、民主党候補のハリス副大統領は学生時代にマクドナルドでアルバイトをしたと述べているが、トランプ氏はその真実性を疑っている。実際にマクドナルドで働くことで、ハリス氏に対抗する姿勢を見せた。

ハリス陣営は声明で、トランプ氏を「不動産王」と呼び、「どんなに多くの写真撮影の機会を設けたとしても、生計を立てるために働くことの意味を理解していない」と非難した。


トランプ氏集会近くで銃所持 米当局、男を逮捕

米国司法当局は13日、カリフォルニア州で12日に開催された共和党のトランプ前大統領の選挙集会近くで、銃を携帯していた男を逮捕したと発表しました。銃は弾薬で満たされており、地元の当局者は記者会見で「暗殺を防いだと考えている」と述べました。

発表によれば、逮捕されたのはネバダ州在住の49歳のベム・ミラー容疑者です。トランプ氏の集会がカリフォルニア州コーチェラで開かれた12日の午後、会場の入り口近くの検問所で彼の車が調べられ、銃とその他の物が発見されたため、彼は拘束されました。集会は計画通りに進行しました。

容疑者は2丁の銃、弾薬、偽造された報道関係者の通行証、そして異なる名前での複数のパスポートを所持していました。彼は極右の反政府組織のメンバーであると見られています。


“トランプ劇場”内側からの崩壊 「deal巧者」にも限界か

トランプ離れの兆し

 私は20年の大統領選挙を取材するため、激戦州の一つであるミシガン州に1年間、居を構えた。共和党事務所のボランティアとして1000軒を超える戸別訪問を行った。

 なぜミシガン州なのか、といえば、16年にトランプ氏が勝利した大統領選挙で、最小僅差で勝利した州だったからだ。その最激戦州で戸別訪問をすれば、有権者の動向が見えてくるのではないか、と思った。

そこで見えてきた一つの流れは、16年にはトランプ氏に入れたが、20年にはトランプ氏に入れることに二の足を踏むという共和党支持者が一定数存在したことだった。

 その時、聞いた2人の声を紹介しよう。

 医療に従事しているという80代のマイケルさんは、20年に新型コロナの非常事態宣言後、自宅の庭にあったトランプ支持の看板を降ろした。

「私は共和党員で16年はトランプに投票したけれど、今回、トランプに投票するかどうかは、大いに躊躇(ちゅうちょ)する。トランプはまだ、新型コロナのワクチンどころか治療薬も出来上がっていない時期なのに、『心配はない』『すぐに収まる』なんて口からでまかせを繰り返す。そんなふうに楽観視する根拠はどこにもない。医療の素人であるトランプは、新型コロナの対策を専門家に全面的に委ねるべきだ。テレビの記者会見に、毎日のようにしゃしゃり出てきて、専門家を無視して好き勝手にしゃべって、しまいには消毒液を体内に注射すれば新型コロナが消えていくなんて言っている」

 夫を亡くし今は一人暮らしだという70代のリンダさんは、こう話す。

「わが家は祖父母の代からみんな共和党支持者なのよ。親戚も全員ね。減税と規制緩和で経済を良くするというトランプの経済政策には大賛成よ。けれど、何でも力ずくで解決したがる姿勢には問題があると思うわ。ブラックライブズマターの運動で、デモをする人たちにも、武器を使ってでも抑え込もうとしているじゃない。それ以前に、もっと対話が必要よね。このままだと、トランプに投票する気にはなれないわね」

 この2人以外にも、前回投票したが、20年にはトランプ氏に投票する気にならないという共和党支持者に何人も出会った。しかし、前回はトランプ氏に投票しなかったが、今回はトランプ氏に投票するという人に、私は1人も出会わなかった。

 大統領選挙の行方のカギを握るのは、浮動票となる無党派層なのだが、基盤となる共和党支持者にもそっぽを向かれたトランプが選挙に勝てるわけがない、と私は体感した。

 果たして20年は、ジョー・バイデン氏がミシガン州で勝利した。この大事な激戦州を制したことが、バイデン氏の大統領選挙の勝利に大きく貢献した。

暴力を肯定した過去

 今回の暗殺の容疑者の情報を収集しながら、私は、4年前にミシガン州で話を聞いた人たちの顔が浮かんできた。容疑者もまた、何らかの理由でトランプ氏に見切りをつけたのだろう、と思った。

いかなる理由があろうとも、政治における暴力は容認されない。

 民主党の大統領候補者であるカマラ・ハリス氏が、暗殺未遂事件後に自身のX(旧ツイッター)に「アメリカに暴力が存在する余地はない」と書き込んだ通りだ。

 しかし、忘れてはならないことがある。

 政治に暴力のタネを撒き散らしてきたのはトランプ氏本人であるということを。その最たる例は、20年の大統領選挙の結果が認定される21年1月6日に起きた連邦議会議事堂襲撃事件だ。事件では、5人が亡くなっている。

 武装したトランプ支持者たちが議事堂を襲ったのは、トランプ氏が直前の演説で、

「連邦議事堂に行進していこう。私もその行進に加わろう」

とけしかけたからだ。私はこの演説を現場で聞き、議事堂に集まった暴徒を取材し、閃光弾や催涙弾を浴びている。

 トランプ氏の政治手法、特に外交においては、二つの軸がある。一つは「取引(deal)」であり、もう一つは、個人的な人間関係だ。

 トランプ氏の北大西洋条約機構(NATO)嫌いは筋金入りだ。理由は簡単。ヨーロッパ各国の平和維持のために、なぜアメリカが金を負担する必要があるのか、という点だ。

 アメリカはNATOの国防費の6割強を負担しており、NATO加盟国が「タダ乗り」しているや、アメリカが「食い物にされている」と、トランプ氏は考える。大統領在任中に、NATO加盟国の防衛支出を従来の目標の倍であるGDP比4%に引き上げることを求めている。

 もとはと言えば、第2次世界大戦後、アメリカが主導して、旧ソ連を中心とする共産圏に対抗するためにNATOを作ったという歴史認識はトランプ氏にはない。側近がそれを伝えたとしても聞く耳を持たない。トランプ氏に分かるのはアメリカの支出額であり、それはアメリカにとっての〝損失〟としか映らない。

18年の先進7カ国首脳会議の際、腕組みをして渋面を作るトランプ氏と、詰め寄るような姿勢をとるドイツ首相であるメルケル氏らの写真を覚えている人も少なくないだろう。アメリカとヨーロッパの軋みが伝わってくる1枚だった。

プーチン、金正恩両氏が“お気に入り”

 反対にトランプ氏が好意を寄せるのがロシア大統領のプーチン氏。大統領在任中には、プーチン氏を「尊敬している」と語っている。プーチン氏がウクライナを侵略した際は、「賢い」「天才だ」とも述べている。これは、ロシアがウクライナを軍事的に侵略したと考える西側諸国の価値観とは大きく乖離(かいり)する。

 トランプ氏が再選されれば、アメリカのNATO離脱の可能性が現実のものとなり、世界情勢が不安定となりかねない。

 トランプ氏が好意を寄せるのはプーチン氏だけにとどまらない。北朝鮮のトップである金正恩氏もお気に入りの一人だ。

18年6月、史上初となる米朝首脳会談で、トランプは金正恩に対し、「一瞬で、相手と良好な関係が築けるかどうかが分かる」と言い、その後の親書で「私たちは、いわば恋に落ちたようなものだ」(『週刊東洋経済』2023年12月23・30日号)と書いている。

 24年7月の大統領候補の指名受諾演説で、トランプ氏は金正恩氏について「私が戻れば、彼とうまくやる。彼も私の復帰を望んでいる」と自信を見せた。

 しかし、北朝鮮は国営通信を通じ「国家の対外政策と個人的感情は区別すべきだ」として牽制している。物別れに終わった北朝鮮の非核化についても、「首脳間の個人的な親交を前面に掲げ、国家間の関係にも反映しようとしたのは事実だが、実質的な肯定的変化はもたらされなかった」と否定的な見方をした。

 国家としては、国益に関する最重要事項をトップ同士の人間関係だけで決めるわけにはいかないという外交の初歩的な点をトランプが理解していないことが露呈した瞬間だった。


トランプ氏、被災地支援で「即応」アピール 激戦州、米大統領選に影響も

前大統領トランプ(78歳)は9月30日、130人以上の死者を出したハリケーン「ヘリーン」に見舞われた米国南部ジョージア州を訪れ、燃料や食料などの支援物資を届けました。この州は大統領選挙の激戦地であり、約1ヶ月後の投票日に向けて、災害対応の迅速な姿勢を示しました。

トランプ氏は瓦礫の前で記者団に「危機時には政治は無関係」と述べましたが、SNSでは「連邦政府や民主党の知事が共和党支持地域の支援を怠っている」と批判し、政治的な意図が見え隠れしました。彼は今週、同じくハリケーンの被害を受けた激戦州ノースカロライナ州の訪問も計画しています。

一方で、副大統領ハリス(59歳)は30日、予定されていた西部州での選挙集会を中止し、ホワイトハウスに急遽戻り、被害状況を報告を受けました。連邦緊急事態管理庁(FEMA)で職員を励まし、「地域の復興に全力を尽くす」と表明しました。トランプ氏は29日の集会で、ハリス氏が多くの犠牲者が出たにも関わらず資金集めを行っていると非難しました。

災害対応は大統領選にも影響を与える可能性があるため、両候補はその対応に敏感です。民主党のオバマ元大統領は2012年のハリケーン「サンディ」への対応が評価され、大統領選の終盤戦での巻き返しにつながったと言われています。


バイデン外交、実績アピール ちらつくトランプ氏の影―クアッド首脳会議

来年1月に退任予定のバイデン米大統領は21日、日米豪印の4カ国枠組み「クアッド」の首脳会議を開催し、各国首脳を自らの故郷に招待して歓待した。クアッドの連携強化を政治的遺産の一つとして位置づけ、アピールする一方で、外交成果を飾る場でもトランプ前大統領の影が見え隠れした。

「私の家に来て、育った場所を見せられて光栄です」とバイデン氏は、デラウェア州ウィルミントン近郊の母校で開かれた首脳会議の冒頭で各国首脳に述べた。

バイデン氏は会議前に3カ国の首脳をウィルミントンの自宅に招き、個別に面会した。アルバニージー豪首相とリラックスして談笑する姿や、岸田文雄首相と池のほとりのバルコニーで話す様子をSNSで公開し、親密さを演出した。

11月の米大統領選撤退後、バイデン氏は退任を控え、政治的遺産作りに追われている。限られた時間の中でアピールできる材料は少ないが、インドで開催される予定だったクアッド首脳会議を急遽自国で開催することにし、舞台を設定した。

中国を唯一の競争相手として対峙してきたバイデン政権にとって、非同盟国でありながら民主主義国のインドとの協力を推進するクアッドは戦略的に重要である。モディインド首相は会議で「短期間で多岐にわたる分野で協力を強化してきた」と述べ、バイデン氏のリーダーシップを称えた。

日米豪印の首脳は、インド太平洋地域での違法漁船の監視を強化する「海洋状況把握(MDA)」の取り組みを来年も継続することで合意した。南シナ海での中国の危険な行動を念頭に置きながら、「2025年に」という文言を含め、国際協調を軽視するトランプ氏の復帰を想定し、クアッドの連携を「制度化」する方針を示した。

バイデン氏は会議で「試練が来ても、世界が変わっても、クアッドは存続すると信じている」と強調した。一方で、モディ氏は訪米中にトランプ氏との会談を予定しており、彼の再選に備えて動き始めている。


トランプ陣営の内部情報盗む イランが介入、バイデン陣営に送付

米国の連邦捜査局(FBI)と情報機関は18日、イランのハッカーが大統領選に立候補していたバイデン大統領の選挙陣営に、対立候補であるトランプ前大統領陣営から盗んだ内部情報を送信していたと発表しました。11月の選挙に向けて、外国勢力による選挙介入の動きが活発化しているとのことです。

発表によれば、イランのハッカーは6月下旬から7月上旬にかけて、トランプ陣営から盗んだ内部資料の抜粋をバイデン陣営の複数の関係者にメールで一方的に送信しました。また、報道機関に対しても6月以降、トランプ陣営の非公開情報を送り続けていました。トランプ氏は対イラン政策で強硬な姿勢を取っていました。

盗まれた情報の詳細は公表されていません。FBIなどは「不和を煽り、選挙プロセスへの信頼を損なう意図がある」と非難しています。また、バイデン陣営の関係者がハッカー側に返信した証拠は見つかっていないと述べています。


ハリス氏、中間層減税を前面に トランプ氏は製造業保護―米大統領選

11月のアメリカ大統領選挙で、民主党のハリス副大統領候補は、乳幼児を持つ家庭への児童税額控除を大幅に拡大するなど、中間層向けの減税策を強調しました。また、法人税率を21%から28%に引き上げる提案も行い、大企業に対する厳しい措置も目立ちました。一方、共和党のトランプ前大統領候補は、追加関税による製造業の保護や法人税の減税を提唱し、企業活動の活性化を通じて経済成長を図ると主張しています。

 

カマラ・ハリスは、「元検事」として「重罪人」との対立構造を狙っているのかもしれませんが、政策論争には不安も残ります。三牧聖子・同志社大学大学院准教授の時事時評です。

 

ハリス氏は、乳幼児を持つ家庭に6000ドル(約87万円)の児童税額控除や、労働者の家庭への減税を提案し、「1億人以上が恩恵を受ける中間層の減税を実施する」と述べています。新築住宅の建設促進や、住宅購入時の平均2万5000ドルの頭金支援も提案しています。英国の調査会社は、これらの家計支援策が大きな恩恵をもたらすと指摘し、国内総生産(GDP)を0.8%程度押し上げると試算しています。

 

しかし、インフレ対策として食品価格のつり上げを禁止する法案には批判も多く、米国の食品業界は、人件費やエネルギー価格の上昇に伴う値上げと価格つり上げを混同することは「不正確で無責任」と強く反発しています。

 

これに対して、トランプ氏は「アメリカ第一」を掲げ、中国に対する関税を大幅に引き上げ、輸入品に10~20%の関税を一律に課す新法を提案し、米国製造業を保護するとともに、メキシコ製の自動車にも高関税を課すことで、「雇用を取り戻す」と主張しています。

 

また、石油や天然ガスの生産拡大によるエネルギー価格の引き下げに意欲を示し、気候変動対策を「緑の新たな詐欺」と切り捨て、バイデン政権の電気自動車(EV)推進政策を撤回すると明言しています。

 

米連邦準備制度理事会(FRB)に対するスタンスでは、ハリス氏はその独立性を重視し「決して干渉しない」と述べていますが、トランプ氏は金融政策に大統領が意見を述べるべきだとし、一定の関与を求めています。