厚生労働省は19日、医療機関と薬局で情報を共有する電子処方箋システムで薬のコードが誤登録され、本来の処方と異なる情報が薬局側に伝達されるトラブルが7件報告されたと発表しました。誤った薬が患者に渡された例はないとのことです。同省は24日までシステムを停止し、医療機関などに点検を求めています。
同省によると、医薬品には全国一律のコードが付されていますが、医療機関側がコードを誤登録したため、薬局側に誤った薬の情報が伝達されました。医療機関側が付与した仮コードを薬局側が登録したために起きたトラブルもありました。
薬剤師が気付き、患者に誤った薬が渡されることはなかったということです。
日本人の死因の上位を占めている三大疾病は、悪性新生物(がん)、心疾患、そして脳血管疾患です。日本人の場合、生涯で何らかのがんになる割合は、男性の2人に1人、女性の3人に1人と推定されていて、がんを避けて人生を過ごすことは難しい状況です。
かつては「不治の病」と言われていたがんは、最近では早期に発見し、治療することで完治が得られる可能性が高くなりつつあります。ただ、一口にがんといっても、体の中で出てくる場所によって名前や性質が異なります。例えば、肺であれば肺がん、胃であれば胃がんといった形で、それぞれの進行の速さは違います。がんは、それぞれによって発見するための検査法も違うため、一つの検査をすれば、体の中のどんながんでも見つけることができるわけではありません。ですから、検診や人間ドックでは、それぞれのがんを標的にした検査が行われています。例えば、肺がんであればCT検査、胃がんや大腸がんでは内視鏡検査が行われます。
◇マイナーな臓器が大問題に
それでは、日本人で最も多いがんは何でしょうか?
私は、医学部で教授として学生に教えています。講義でよく「日本人で一番多いがんは何か?」と尋ねます。そうすると、不安そうな顔をした学生から、「大腸がん!」とか、「肺がん!」といった答えが返ってくることがあります。私は笑いながら「ブー」と返します。
1年間に診断される患者さんの数で最も多いのは、男性では中高年に多い前立腺がん、女性では乳がんになります。乳がんは、よく耳にする方が多いと思いますが、前立腺がんについては「どこにある臓器なの?」と思う方も少なくないでしょう。私も学生時代に解剖学を学んだ際、前立腺という臓器の場所や周りの臓器との位置関係を理解するのが難しかったという思い出があります。そんなマイナーな臓器が今、私たち日本人にとって、大きな問題になりつつあるのです。
◇死因では第7位
2020年7月に更新された 「全国がん登録による全国がん罹患データ」という報告書では、17年1年間に前立腺がんと診断された患者数は9万1215人と、男性の全てのがんの中で第1位となったことが示されました。以降、前立腺がんは1位の座を譲ることなく君臨しているのです。
一方、前立腺がんは死因の第1位ではありません。がんで亡くなる方の数で最も多いのは、男性では肺がん、女性では大腸がんです(がんの部位別統計=日本対がん協会、22年)。前立腺がんは、1年間で診断される数は1位にもかかわらず、死因では7位となっています。国立がん研究センターが、09~10年にがんと診断された約57万人を対象にした5年生存率(診断されてから5年間生存した患者さんの割合を示したもの)を報告しています。前立腺がんの5年生存率は、98.6%と他のがんと比較して最も高い割合でした。
◇5年生存率、Ⅰ~Ⅲ期は100%
がんには「病期」というものがあります。Ⅰ、Ⅱ期は前立腺がんが前立腺の中にとどまっている場合、Ⅲ期はリンパ節に転移をしている場合、Ⅳ期は骨や他臓器に転移をしている場合です。この調査では、前立腺がんの病期別の5年生存率はⅠ期からⅢ期は100%、Ⅳ期は62.2%という数字も報告されました。一方、膵臓(すいぞう)がんの5年生存率は、Ⅰ期は43.3%、Ⅱ期は19.3%、Ⅲ期は5.7%、Ⅳ期は1.7%でした。
このような数字を見ると、「前立腺がんは寿命に影響を及ぼしにくいんだなあ」「治療の必要もないのでは」と考えてしまう方もいらっしゃるかもしれません。でも、この後の話を読んでもそう思いますか?
◇ホルモン療法
前立腺がんに対する治療に、ホルモン療法(内分泌療法とも言います)があります。前立腺がんは、男性ホルモンの刺激で病気を進行させる性質があります。これを逆手に取った治療がホルモン療法です。つまり、男性ホルモンの分泌や働きを妨げる薬を使用することで、前立腺がんの勢いを抑えこむ治療です。たとえ転移をした状態で診断されても、あるいは治療後に再発した場合でも、このホルモン療法を行うと1~5年程度(患者さんにより期間に差があります)は、がんの勢いを抑えることができます。最近では、新規ホルモン療法という従来よりも強力なホルモン療法や抗がん剤による治療が進歩したことで、進行した前立腺がんが見つかっても、5年間生存する患者さんは少なくないのです。
◇がんを治すことはできない
しかし、これらの薬物療法は、がんの勢いを抑えることはできても、がんを治すことはできません。つまり、徐々に薬の効果は弱まり、がんは進行してしまうのです。前立腺の中を流れる血液は、背骨の中にある血管(椎骨静脈と言います)を経て心臓に戻ります。このため、前立腺がんは背骨に転移しやすいのです。もちろん生存できることは大変良いことです。しかし、徐々に薬は効かなくなり、背骨に転移すると、医療用麻薬を必要とするひどい痛み、歩行の困難、さらには下半身の感覚が低下するなどの症状に悩まされることになります。そして、抗がん剤の治療も治療効果がなくなってしまうと、生命の危険が迫ってきてしまいます。つまり、がんの種類によって、生存率の尺度を変えるべきなのです。また、生存期間だけではなく、痛みや生活の質(QOL)を保つことができる期間についても評価されるべきではないでしょうか。
ペットの犬と一緒に散歩をしていると、地域に顔見知りが増えていきます。すれ違う時に笑顔を向けてくれる方や、「(犬に)あいさつしてもいいですか」「かわいいですね」と声掛けしてくれる方。そこから少し立ち話に発展することも珍しくありません。
これは筆者が飼育しているペットの犬の話です。特別な訓練をしているわけでも、人が大好きな犬というわけでもありませんが、人とのつながりや笑顔を生み出してくれます。
猫、ウサギ、小鳥、魚など、多くの動物が人と生活していますが、犬はその中でも特別な存在。なぜ犬は特別であり、動物介在療法[1]などで多く活用されているのでしょうか。
大学を訪問したファシリティドッグ候補犬のミコ(左)、トミー。人と犬の穏やかな交流時に増加する“幸せホルモン”そのままの笑顔で
◇「自分を必要としている人」を見分ける
犬は最も長く人と共に暮らしてきた動物で、祖先であるオオカミから分かれたのは3万~10万年前といわれています。イスラエルにあるアインマラハ遺跡からは、子犬に寄り添って埋葬された老婦人が発掘されています。遺跡は1万2000年ほど前のものであることから、この頃にはすでに人と犬が親しい関係を構築していたことが伺われます。数万年という長い年月の中で、人と犬は互いに影響を与えながら進化してきました。
「部屋にいる複数の人の中で、犬は自分を必要としている人を見分けて、自らその人に寄り添っていた」
「ふれあいを終えようとしても、犬がその人のそばから離れず、もう少し一緒にいようとしていた」
これは動物介在療法の現場で働く方々から、時々耳にするエピソードです。このような犬のふるまいが、結果的により良い効果につながったという話も聞きます。これは犬が超能力を持っているからというわけではなく、犬が人の行動や細やかなしぐさを読み取ることに長けており、人の状態の変化に気付くことができるためであると考えられています。これも進化の過程で犬が獲得してきた能力と言えるでしょう。
また、犬は成長しても幼い頃のように遊ぶことが好きな動物です。これはネオテニー(幼形成熟)といって、家畜化により幼い頃の性質を持ったまま成長するためです。人と一緒に走り回ったり、ボールを追いかけたり、引っ張りっこをしたりと、犬はさまざまな活動を通して人と楽しむことができます。
◇人と犬、「両者」に良い影響が大切
さらに、人と犬の関係に関するこれまでの研究からは、人と犬が穏やかに交流している時、愛着や信頼にも関わる“幸せホルモン”とも呼ばれるオキシトシンが、人と犬の双方で増加することが示されています。また、犬は褒める声を聞くと脳の「報酬に関わる部位」が活性化することがfMRI[2]を使った研究で分かっています。
このように、人との交流で、犬もポジティブな影響を得ているということが医療の場面などで犬が力を発揮できる大切な要素の一つです。
「穏やかで、人との関わりを楽しめる」性質を生かし、子どもとの遊びの時間を創出する
犬は他の動物と比べ、人とのコミュニケーション能力に長けている、人との交流を楽しめる性質ですが、全ての犬がそうとは限りません。例えば、飼い主以外の人は受け付けないという犬。こうした犬は見知らぬ人に囲まれたり、なでられたりすると、頻繁にあくびをする、浅く速い呼吸(パンティング)をする、体をこわばらせるなど、さまざまなストレス行動を示します。このようなストレス行動を見ることは、人の心理状態に負の影響を与えます。
動物介在療法においても、「犬」がいればよいのではなく、「穏やかで、人との関わりを楽しむ犬」の存在により、安全な環境と穏やかな心理状態を対象者にもたらすことができるのです。
◇支えるハンドラーが不可欠
犬は人とは違い、表現する行動と感情に齟齬(そご)が無い、素直な動物です。嫌なことがあればそれを避けようとし、好きなことであればそれを求めようとします。そんな性質の犬が自らの意志で人に近づき、人に寄り添う(時には、安心してそのまま寝てしまう)ことは、関わる人にとって、自分が無条件に受け入れてもらえるような感覚を覚えることでしょう。
自発的に人に近づこうとする性質は、動物介在療法にも欠かせない要素です。犬は訓練性能が高い動物。トレーニングを通して人が求める行動を習得するのが得意です。そのため、「人の横について歩く」「伏せる」「待つ」「ただじっとして動かない」こともできます。
しかし、ハンドラーにそうするように言われたから置物のようにそこにいる犬からは、限定的な効果しか得られないでしょう。動物介在療法に大切な犬の自発性の根底にも、ここまで繰り返し述べてきた「穏やかで、人との関わりを楽しむ」ことのできる犬の性質があります。
一方、そのような性質を持つ犬であっても、苦手なシチュエーションや緊張感のある場面では、疲れを感じる可能性は十分にあります。その時に、きちんと犬の状態やボディーランゲージを読み取り、適切な対応を取れる人間(ハンドラー)が身近にいることが犬にとってストレスを抱え込まないために不可欠です。
動物介在療法において、犬が他の動物と比べて、特別に力を発揮することができているのは、「人との関わりを楽しめる」という性質が最大限に引き出されていて、活躍できる配慮がなされているためと言えます。
◇最新の【生物学的製剤】で改善を目指す
関節リウマチ治療において、生物学的製剤は大きな進展をもたらしました。この治療法は、免疫システムの働きを標的にすることで炎症を根本から抑え、関節の破壊を予防することを目指しています。特に「治療の目標を明確に定め、達成を目指す」Treat to Target(T2T)の考え方において、生物学的製剤は重要な役割を果たしています。
生物学的製剤は、従来の薬物療法で十分な効果が得られなかった場合や、進行が速い患者さんに適用されることが一般的です。生物学的製剤の利点として、炎症の抑制が迅速かつ効果的である点が挙げられます。さらに、関節破壊の進行を遅らせるだけでなく、炎症がほぼ完全に抑えられる「臨床的寛解」の達成も期待されています。
◇生物学的製剤の投与は点滴か皮下注射から選べる
生物学的製剤の使用方法として、患者さんのライフスタイルや治療環境に応じて「点滴」と「皮下注射」のいずれかを選択することができます。それぞれ特徴があり、患者さんの状態や生活の便利さに合わせて選択することが重要です。
【点滴】予約を取って医療機関で1〜2時間程度点滴を受ける
点滴療法では、予約した日時に医療機関を訪れ、薬剤を1~2時間かけて体内に投与します。メリットとして、医師や看護師が近くにいるため、治療中に気になる症状や疑問があった場合にすぐ対応してもらえる点です。
また、自宅で薬剤を保管する必要がないため、冷蔵管理や医療廃棄物の取り扱いについて心配する必要がありません。さらに、治療中は音楽を聴いたり、本を読んだりすることでリラックスして過ごせるため、通院時間を有意義に使うことができます。
点滴療法で使用される代表的な生物学的製剤には、レミケード(TNFα阻害薬)、アクテムラ(IL-6受容体阻害薬)、オレンシア(T細胞活性化抑制薬)などがあります。薬剤は、患者さんの症状や進行状況に応じて選択されます。
【皮下注射】在宅で自己注射ができるが、注射剤の管理が必要
皮下注射は、短時間で治療を終えたい場合や通院が困難な場合に適した方法です。特に、治療の間隔が短い場合(週1回や2週間に1回など)には、自宅で自己注射を行う選択も可能です。自己注射を行う場合は、医療機関で使用方法を十分に習得した後に開始されます。注射剤は冷蔵庫で保管する必要があり、家族や特に子どもの手が届かない場所に保管することが求められます。また、使用後の注射器は医療廃棄物として適切に処理し、家庭ごみと一緒に廃棄しないよう注意が必要です。
自己注射用の生物学的製剤には、エンブレルやヒュミラ、シムジア、アクテムラ、オレンシアなどがあります。中には、ボタンを押すだけで薬剤を注入できるオートインジェクターを使用する製剤もあり、注射の際の負担を軽減する工夫がなされています。
◇最新の生物学的製剤をうまく活用し、リウマチの改善を目指しましょう!
リウマチ治療は、症状や進行具合に応じた適切な治療法を選ぶことが重要です。生物学的製剤は炎症を抑え、関節破壊を予防する効果が期待できる最新の治療法であり、生活スタイルに合わせて点滴や皮下注射の選択肢もあります。
さらに、薬物療法だけでなく、手術療法やリハビリテーション療法を組み合わせた多角的なアプローチが必要です。日々の治療や生活習慣を見直しながら、症状の改善と生活の質向上を目指しましょう。自分に合った治療法を選び、リウマチの改善に向けて医師と共に最善の道を歩んでいくことが大切です。
大阪大微生物病研究所の山本雅裕教授らは、がん組織で免疫を抑制している「制御性T細胞」の一種を減らし、免疫を活性化してがんを抑制する方法をマウスで開発し、米科学誌サイエンスに22日付で発表した。山本教授は「自己免疫疾患を引き起こさない新しい免疫療法の可能性があり、創薬に取り組む」と述べている。
通常、体内に侵入した有害な微生物やがんは免疫によって排除されるが、免疫が過剰になると自己の組織を攻撃し自己免疫疾患を引き起こすことがある。そのため、免疫細胞は通常、アクセルとブレーキのバランスを保ちながら機能する。しかし、がん組織ではブレーキが強まり、がんの増殖を許してしまう。山本教授らは、マウスのがん組織でブレーキ側の「Th1-Treg」という制御性T細胞が「PF4」という物質によって増加することを発見し、PF4を中和する抗体を投与することで、Th1-Tregを減少させ、免疫細胞を活性化してがんの増殖を抑制できることを見出した。
ヒトのがん患者においてもPF4の量が多いと生存率が低いことが知られており、山本教授は「ヒト用のPF4中和抗体を発見しており、製薬会社と協力して臨床試験を進めたい」と述べている。制御性T細胞には多くの種類があり、全てを除去すると自己免疫疾患が発生するが、Th1-Tregのみを除去することでそのリスクを回避できるという。
タンパク質は、炭水化物、脂質と共に三大栄養素の一つ。食事から取るのが基本だが、1日に必要な量は性や年齢、体格や活動量などで個人差があるため、自分の適量を知ることが大切だ。神奈川県立保健福祉大学大学院(神奈川県横須賀市)保健福祉学研究科の鈴木志保子研究科長に、適切なタンパク質摂取の方法などについて聞いた。
食品に含まれるタンパク質の量
◇過剰摂取はリスクも
一般的な生活をしている人の1日に必要な摂取量の目安は、体重1キロ当たり1グラムで計算できる。体重60キロの人では1日60グラムのタンパク質が基本だ。活動量が多ければその1.1~1.2倍、スポーツ選手なら1.2~1.7倍が必要。
ただし、「大量に取っても余分なタンパク質は体内で使うことができず、分解して一部は脂肪に、一部は体外へ排出される。過剰摂取を続けると、肝機能や腎機能の低下につながることもあります」。
自分の適量が分かったら、必要な量を3回の食事で均等に分けて取るのが理想的だ。タンパク質は、肉や魚、卵、乳製品などの動物性タンパク質、豆製品など植物性タンパク質の他、ご飯やパン、うどんなどの主食にも含まれる。主食のタンパク質は動物・植物性タンパク質の質に比べてあまり良くないが、「動物・植物性タンパク質を含む食品と一緒に食べれば、栄養素のバランスが整います」。
◇不足分は間食で調整
働き方が多様化する現代では、1日3回食べることが難しい人も少なくない。「大事なのは1日に食べる総量とタイミング。3食にこだわらず、自分の生活スタイルに合った間食を取りましょう」
例えば、昼食と夕食の時間が空く場合は、夕方におにぎりやパンなどを取るとよい。「糖質も体に必要な栄養素。間食で集中力が上がるだけでなく、夕食のドカ食いを防げます。夕食の主食を減らせば、エネルギーの過剰摂取を防ぐこともできます」
朝食を取る時間がなければ、朝10時ごろに牛乳を飲んだり、ヨーグルトを食べたりして補う方法もある。
間食は、1日に必要なエネルギーや栄養素の量を把握し、食べる総量を変えない点が重要だ。鈴木研究科長は「食事や総量、間食で何をどれだけ食べればよいかは、自分では判断しにくいです。気になることは管理栄養士や栄養士に気軽に相談を」と話す。
大腸がんは、左側の肛門近く(下流)に発生するケースが80%を占めており、右側の小腸近く(上流)で発生するケースが少ないのは、右側には免疫を担う小腸と同様にがん細胞や異物を排除する強い機能があるためと考えられている。この発見は、国立がん研究センターと大阪大学の研究チームによって8日に発表された。
胎児期の消化器は前腸、中腸、後腸に分けられ、中腸からは小腸と右側の大腸が、後腸からは左側の大腸が形成される。この違いは成長後も継承され、遺伝子解析で確認されている。小腸は栄養吸収の役割が主だが、免疫機能も強く、異物排除に貢献しているため、小腸がんは非常に稀である。大阪大学の谷内田真一教授は、小腸の免疫システムを活性化させることでがんの予防や治療につながる新しい治療法の開発が期待されると述べている。
国立がん研究センター中央病院の斎藤豊内視鏡科長らは、大腸の内視鏡検査で異常が見られなかった健康な人々と大腸がん患者を対象に、大腸の様々な部位と小腸の最下流部である回腸末端の組織サンプルを採取し、遺伝子の活動を包括的に解析し比較した。その結果、大腸の左側では水分吸収に関わる遺伝子が活発に働くのに対し、右側では異物排除に関わる遺伝子が活発に働いていることが明らかになった。また、大腸がん患者では、外見上正常に見える部位でも遺伝子の活動が健康な人々と異なり、未病状態であると推測された。
さらに、回腸末端では免疫機能を担うT細胞を活性化する遺伝子が働いているが、大腸がんが進行するとこれらの遺伝子の活動が異常になることが判明した。谷内田教授は、日本において大腸がんが最も多いがんであるため、未病状態を健康に戻す先制医療の重要性を強調している。この研究は、国際的ながん専門誌「モレキュラー・キャンサー」に掲載された。
顔や胸、脇腹などに痛みを伴う小さな水膨れがまとまって表れる帯状疱疹(ほうしん)。加齢とともに発症しやすく、神経痛などが残るリスクも高まる。水ぼうそうにかかったことがあれば患う可能性があるが、8年前からワクチンが導入され、予防が可能になった。奈良県立医科大学付属病院(奈良県橿原市)皮膚科の浅田秀夫教授に治療法やワクチンについて尋ねた。
2種類ある帯状疱疹ワクチン
◇80歳までに3人に1人
国立感染症研究所の2022年度調査によると、成人の9割が水ぼうそうにかかったことがある。その原因である水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)は治癒後も体内に潜伏。加齢、疲労、ストレスなどによる免疫の低下で再び活動を始め、帯状疱疹を引き起こす。
ウイルスは神経を伝って皮膚に移動するため、ちくちくした痛みから始まる。その後、少し膨らみ水疱(すいほう)のある発疹が表れ、胸や腹、背中、顔など全身どこにでも発生する。患者は50代から増え始め、80歳までに3人に1人が発症する。
症状が出てから早めに抗ウイルス薬で治療すれば、3週間ほどで痛みや皮膚病変は治まる。ただし、痛みが夜も眠れないほど強いことや、数カ月以上残ることがある。「視力障害や難聴といった合併症のリスクもあることを考えれば、帯状疱疹の予防が重要です」
◇2種類が実用化
予防のため、16年にVZVの生ワクチン、18年にはVZVのタンパクと免疫を誘導する補助成分を組み合わせた不活化ワクチンが承認された。これらは、対象者、接種回数、有効性、副反応、費用などが異なる。
生ワクチンは原則50歳以上が対象で、皮下注射を1回、不活化は50歳以上または帯状疱疹のリスクが高い18歳以上の人に筋肉内注射を2回行う。効果が持続するのは不活化の方が長いとされる。接種後は「どちらのワクチンでも接種部位に赤み、痛みなどの局所反応がしばしば見られます。不活化ワクチンでは、約50%の人に筋肉痛や疲労、頭痛も起こります」。
浅田教授によると、費用は生ワクチンが約1万円、不活化は2回で計約5万円が目安。任意接種のため全額自己負担だが、一部を助成する自治体も増えている。
リウマチは関節の痛みや炎症を引き起こす自己免疫疾患として知られていますが、発熱もその一症状として表れることがあります。
特に、50代女性がリウマチの症状に加えて熱が続いていると不安を感じるのは当然のことです。
本記事では、リウマチと発熱の関係について詳しく解説し、リウマチ性多発筋痛症やリウマチの合併症による発熱についても触れます。
風邪気味の症状とリウマチの関係を理解することで、安心して適切な治療を受けるための情報を提供します。
◇肩の痛みや微熱を引き起こす炎症性疾患
リウマチ性多発筋痛症(Polymyalgia Rheumatica, PMR)は、肩や首、腰などの痛みやこわばり、微熱を引き起こす炎症性疾患です。
この病気は自己免疫反応が原因であり、体の免疫系が誤って自身の組織を攻撃することによって発生します。PMRはリウマチの一種であり、高齢者に多く見られる疾患です。
◇50歳以上の女性に多く、70~80歳がピーク
リウマチ性多発筋痛症は、特に50歳以上の女性に多く発症します。
リウマチ性多発筋痛症は50歳以上の女性に多く発症。微熱や疲労感、体重減少などの全身症状も見られることがある(イメージ)
発症のピークは70〜80歳とされており、年齢とともに発症リスクが高まるものです。症状は突然始まり、主に肩や首、腰の痛みやこわばりとして表れます。
これに加えて、微熱や疲労感、体重減少などの全身症状も見られることがあります。発症初期は風邪やインフルエンザと間違えられることが多いため、適切な診断と治療が必要です。
症状が持続し、日常生活に支障を来す場合は、早期に医師の診察を受けることが重要です。
リウマチ性多発筋痛症は高齢者に多く見られるため、発熱、食欲不振、体重減少などの症状も典型的です。
これらの症状は、炎症が全身に広がることで引き起こされます。発熱はしばしば微熱程度ですが、持続的であるため、長期間続く場合は注意が必要です。
また、食欲不振や体重減少は、全身の炎症反応と関連しており、身体全体の調子を崩す原因となります。高齢者にとっては、これらの症状が日常生活に大きな影響を及ぼすため、早期発見と適切な治療が重要です。
編集 岡山新報社・守破離俱楽部・輝く日本の会
〒703-8202
岡山県岡山市中区
kmd1101yhiro-webnews@yahoo.co.jp
あなたもジンドゥーで無料ホームページを。 無料新規登録は https://jp.jimdo.com から