埼玉県は25日、行田市のアヒル農場で高病原性鳥インフルエンザの感染があると発表しました。約2500羽の食用アヒルが殺処分され、感染の拡大を阻止します。この養鶏場での感染は今シーズン11例目で、県内では初めての事例です。
農家からの報告によると、24日午前に「死んだアヒルが増えている」との通報がありました。その日に13羽が死亡したとされています。簡易検査で陽性反応が出た後、25日午前の遺伝子検査で感染が確認されました。
周辺8市の住民約8700人が、米軍と海上自衛隊が共同使用する神奈川県の厚木基地の騒音被害に関して、国に対し航空機の夜間及び早朝飛行の停止と約131億円の損害賠償を求める第5次騒音訴訟の判決が20日、横浜地裁で下される。
過去の1~4次訴訟では騒音被害に対する賠償が認められたが、4次訴訟での自衛隊機の飛行停止命令は「運航の公共性」を理由に最高裁で退けられた。米軍の空母艦載機が2018年に岩国基地へ移転した後の騒音状況の評価が今回の主要な争点である。
原告側は、航空機騒音の従来の評価基準「うるささ指数」(W値)の見直しを求め、2013年から国内で採用されている騒音の共通指標「Lden」を用いると、軍用機の騒音が民間機のそれと比べて過小評価されていると主張している。一方、国側は岩国基地への移転と新型自衛隊機の導入により騒音が軽減されていると反論している。
さらに、原告側は国に対し、被害解消のために米国との協議を求めており、福田護弁護団長は「住民の基本的人権が侵害されている場合、国は改善を求めるべきだ」と述べている。
10日午前9時50分頃、福岡県宗像市の大島北約2キロ沖で、海上自衛隊の掃海艇「うくしま」がエンジンルームから火災を報告し、第7管区海上保安本部に通報した。海自と海保によると、機関室にいた3等海曹(33歳)が行方不明で、室内に取り残された可能性がある。
消火作業に苦戦していたが、掃海艇は11日午前0時過ぎに転覆し、船体の大部分が水没して鎮火した。船首のみが水面に見える状態で、海自と海保は潜水士を投入し、船内捜索を行って3等海曹の発見を急いでいる。
海保によると、うくしまは10日午前9時43分頃にエンジン周辺で出火し、乗員と近くにいた掃海艇「とよしま」、海保の船による消火活動で一時鎮火したが、午後3時前に再燃した。火の勢いが強まり、乗員は全員「とよしま」に避難した。火は船体の大部分に広がり、爆発も発生した。11日午前0時5分頃に転覆し、大部分が水没して鎮火した。
行方不明の3等海曹は機関室で当直中だったが、一緒にいた20代の隊員は煙を吸い、病院に搬送された。命に別状はない。海自は事故調査委員会を設置し、詳細な状況を調査中である。
うくしまは下関基地隊に所属し、全長54メートル、重量510トンの木製掃海艇である。約40人が乗船し、日向灘での掃海訓練に参加するため、10日朝に基地を出港していた。
偽の格安通販サイトで購入した商品に関して、スマートフォン決済アプリ「PayPay(ペイペイ)」を使った返金を装い、電子マネーを詐取する手口が増加しています。この被害は全国に拡がっており、警視庁は「『○○Pay』など、電子マネーのみでの返金は非常に怪しいと疑うべき」と警告しています。
国民生活センターによると、この被害が最初に確認されたのは2023年3月で、その後今年の7月末までに全国で4168件の相談が寄せられました。
警視庁捜査2課によれば、都内の40代女性が5月に格安通販サイトでアイドルの「ハイタッチ券」を15000円で購入しました。代金を振り込んだ後、業者を名乗る人物から商品が欠品しているとのメールが届きました。
返金を要求したところ、業者は「PayPayでのみ対応可能」と回答しました。その後、返金手続きを進めるふりをして、電話でPayPayの画面に「認証コード69985を入力してください」と指示しました。さらに、「認証が失敗した」と偽り、「79998」を入力するよう要求しました。
しかし、女性が入力したのは送金額の欄で、実際には69985円と79998円を送金してしまいました。女性は気づかずに、3回にわたって合計約25万円を送金してしまいました。
さらに、女性はネットバンキングに移行し、「返金コード」として指示された数字を入力し、合計約980万円を詐取されました。PayPayには送金額の上限があるため、より高額を詐取するためにネットバンキングへの誘導が行われたと考えられます。
使用される電子決済サービスの中で、PayPayは90%以上を占めています。被害者は10代から70代まで幅広く、偽の格安サイトでは楽器やフィギュア、洋服など様々な商品が扱われています。
メールやLINEの文面には、翻訳アプリを使用したと思われる不自然な日本語が見られ、通話時には片言の日本語で対応された被害者もいます。警視庁は、海外の詐欺グループが関与している可能性があるとして、捜査を進めています。
国土交通省は、トラック運送業の「多重下請け構造」を解明するために実態調査を開始しました。関連事業者への聞き取りを行い、11月下旬には結果をまとめる予定です。これは、運転手不足による物流の停滞が懸念される「2024年問題」と関連しており、実際に運送を行う事業者が適正な運賃を確保できる環境を目指しています。
運送業界では、多くの事業者が中小規模であり、元請けから下請け、孫請けへと委託が繰り返されることで、最終的に荷物を運ぶ事業者の運賃が削減されます。委託が多用される背景には、自社の運転手不足や荷主からの突発的な運送依頼への対応があります。
今回の調査対象は、車両を所有せずに運送の委託や仲介を行う事業者です。約28,000社の登録事業者と、荷主と運送契約を結ばずに配送マッチングサイトを運営する数社にも聞き取りを実施します。
調査では、サービスに見合った手数料が設定されているか、運賃確保への意識などを調べ、これらの事業者が運賃決定に与える影響を精査します。そして、2025年中に必要な対策を講じる予定です。
今年4月にはトラック運転手の残業規制が施行され、政府は運転手不足の解消と処遇改善に努めています。業界団体は下請け回数の制限や、荷物情報の交換のみで手数料を得る事業者への規制などの対策を求めており、国会でも制度の見直しに向けた動きが活発になっています。
御嶽山の噴火災害を受けて、気象庁は登山者や周辺住民へ迅速に情報を提供する「噴火速報」の導入と観測機器の強化を進めています。これにより、以前は捉えられなかった現象も観測できるようになったと担当者は述べています。
噴火災害後、火山噴火予知連絡会は2015年に観測体制の強化と情報提供方法の改善を求める報告書を発表しました。
気象庁は噴火速報の導入と共に、噴火警戒レベル1の定義を「平常」から「活火山であることに注意」へと変更しました。また、火山頂上近くに観測機器を追加設置し、監視スタッフを160人から280人へ増員し、研修プログラムも見直しました。
重野伸昭火山対策企画官は、新たな機器により火口近くの火山性地震をより捉えやすくなったと説明しています。しかし、「噴火の過程にはまだ解明されていない部分が多い」とし、データの蓄積と解析能力の向上が今後の課題であるとしています。
気象庁のウェブサイトでは、登山者向けに各山の情報をまとめたページも設けられています。重野氏は登山者に対し、「登る山の状態を理解し、ヘルメットなど適切な装備を整えるように」と呼びかけています。
派遣先の同僚だった中国籍の女性を殺害したとして、三重県警は14日、殺人容疑で、同県菰野町菰野、フィリピン国籍の派遣社員ジュニ・ジェルビン・ベルナデス容疑者(32)=死体遺棄罪で起訴=を逮捕した。県警は認否を明らかにしていない。
逮捕容疑は2023年7月22日ごろ、同県四日市市内で趙霞さん=当時(36)=を殺害した疑い。
江戸時代中期の京都を代表する画家、伊藤若冲(1716~1800年)と円山応挙(1733~95年)の共作とされる二曲一双の屏風が新たに発見されました。この屏風は、来年6月から大阪中之島美術館(大阪市)で開催される「日本美術の鉱脈展 未来の国宝を探せ!」で公開されます。
発見された作品には、若冲が描いた竹と鶏を題材にした「竹鶏図屏風」(1790年以前)、および応挙が描いた梅と鯉を題材にした「梅鯉図屏風」(1787年)が含まれています。これらは金地の水墨画で、鶏と鯉はそれぞれの画家が得意とする主題です。
この屏風は個人が所有しており、明治学院大学の山下裕二教授(日本美術史)が今年初めにその存在を確認しました。画風、落款、金箔の質、サイズなどから、二人の画家による対の作品であると判断されました。若冲と応挙の共作が確認されたのはこれが初めてで、山下教授は「これまで両者の接点を示す資料がほとんどなかったため、非常に貴重な発見である」と述べています。
内閣府は、災害発生時に被災地で使用可能なトレーラーハウスやコンテナトイレなどの移動型車両の登録制度を新設します。能登半島地震の経験を基に、平常時から全国の自治体や民間企業の在庫を把握し、災害時には被災自治体が迅速に活用できる体制を整えます。この計画は2025年度の予算概算要求に経費として含まれています。
能登半島地震の際には、仮設住宅や災害対応支援者の宿泊施設としてトレーラーハウスが利用されました。避難所の生活環境や衛生環境の改善には、キッチンカーやランドリーカーが貢献しました。また、トイレ、シャワー、医療など多目的に使用できる高機能コンテナも有効でした。
しかし、これらの車両やコンテナの在庫情報は国にはなく、被災地からの要望に応じて都度関係機関に確認する必要がありました。
新たに設立されるデータベースでは、車両の写真、説明、問い合わせ先を登録し、民間が保有する場合は提供価格も掲載します。これにより、被災自治体はニーズに合った資源を容易に見つけることができます。
内閣府は、システム構築にあたり、登録される資源の審査体制も設けます。例えば、仮設住宅に使用される資源は断熱性能や水回りの設備をチェックし、トイレは連続使用可能回数、キッチンカーは提供可能な食事の種類と量を検討します。これは一定の品質を保証するためです。
静岡地裁における袴田巌さん(88)の再審公判で、判決が26日に下されることを前に、姉のひで子さん(91)は取材に応じ、「判決は平常心で待つのみ」と述べた。58年間の経過を「見えない権力との闘いだった」と振り返り、「裁判が始まり、先が見えるようになったが、この1年は特に長く感じた」と話した。
巌さんは事件発生から約1カ月半後の1966年8月に逮捕された。メディアは彼を犯人として大々的に報じ、ひで子さんも社会の厳しい視線に晒された。
しかし、ひで子さんは事件発生3日後に巌さんが家族や近所の人々といつも通りに話している姿を鮮明に覚えている。「4人を殺した人が、態度を変えないのはおかしい」と、周囲の言葉に動じず、弟の無実を信じ続けた。
死刑が確定して約半年後、東京拘置所を訪れた際、巌さんは面会室に急いで入ってきた。「昨日、隣の部屋の人が処刑された。『お元気で』と言っていた」と、普段は寡黙な巌さんがアクリル板越しに話したことが、ひで子さんに強い印象を残した。
「実際に処刑されるとは感じていなかったのだろう。ショックだったと思う」とひで子さんは語る。その日以降、巌さんは拘禁反応による混乱した言動が目立つようになった。
意思疎通が難しい状態が続いたが、ひで子さんは定期的に面会に訪れ、常に笑顔を心掛けた。「刑務所では笑うことは少ないだろうが、私が笑えば彼も笑うだろうと思った」と述べる。釈放から10年が経ち、巌さんの表情も明るくなったという。
昨年10月に始まった再審では、ひで子さんは巌さんの代理として全ての公判に出席した。法廷で初めて「5点の衣類」を目の当たりにし、「報道では『血染めのパジャマ』と言われていたが、そうではないと感じた」と振り返る。
再審の過程で多くの冤罪被害者に出会い、「巌だけが救われるのではない」と、再審法の改正にも情熱を傾けてきた。「巌が苦しんだことを代償に、法律を変えなければならない」と述べ、無罪判決が出ても闘いを続ける決意を示している。
電動車椅子の脱輪、着衣の発火、介護ベッドでの挟まれ事故も含め、敬老の日に合わせてNITE(製品評価技術基盤機構)は高齢者に多い事故への警告を発しています。命を失う事故も発生しており、家族や介護従事者に対しても周囲の危険を確認するよう呼びかけています。
NITEの報告によると、2015年から2023年にかけて、60歳以上の高齢者による電動車椅子の死亡事故は25件報告されており、2023年には7件と最も多く報告されました。介護ベッドに関連する死亡事故は同期間に28件あり、年間2~5件の割合で発生しています。また、コンロやライターから衣服への火災による死亡事故も4件ありました。
和歌山県では2018年6月、電動車椅子を使用していた70代の男性が踏切内で列車にはねられ死亡しました。前輪が線路の砕石部分で脱輪したと考えられています。福井県では2019年9月、80代の女性が側溝に電動車椅子ごと転落し、発見された時には既に亡くなっていました。
これらの事故を防ぐためには、使用する道路を介助者と事前に確認し、側溝のない道を選ぶことが効果的です。また、脱輪を防ぐために道路の端を避けることも重要です。
介護ベッドでの事故では、静岡県の80代女性が2022年6月、手すりとマットレスの隙間に首を挟まれて死亡しました。また、介護用ポータブルトイレを使用中に転倒し、背もたれと肘掛けの間に腕を挟んで骨折する事故もありました。NITEは、クッションや保護カバーを使用して隙間を埋めることを推奨しています。
奈良県の60代女性は2022年10月、ガスコンロに置かれた調理器具を持ち上げた際に、袖に火がつき大火傷を負いました。NITEは、白内障が進行するとガスの青い炎が見えにくくなるため、コンロ周辺には調味料などを置かないようにと警告しています。
研究チームによると、絶滅の危機に瀕しているニホンウナギの稚魚は、他の魚に食べられた後でも、胃から消化管を経て鰓の隙間から脱出する能力があることが判明した。この研究結果は、米科学誌カレント・バイオロジーに10日に掲載された。
長崎大学の河端雄毅准教授と長谷川悠波助教は、以前の研究で淡水魚ドンコに飲み込まれたウナギの稚魚が、ドンコの鰓の隙間から逃げ出すことを発見した。捕食者の体内から自力で脱出する行動は非常に珍しく、魚類では他に例がないため、脱出方法をさらに研究した。
そのため、河端准教授たちは、稚魚(平均体長約7センチ)に硫酸バリウムを注入し、水槽内でドンコ(平均体長約15センチ)に捕食させた後、X線カメラで行動を観察した。
捕食された32匹のうち、最終的に9匹が鰓の隙間から脱出に成功した。体内での行動を調べた結果、一部の稚魚は口から消化管を通り、胃に完全に入り込んでいたが、胃の中で体を回転させ、尾部を消化管に挿入して胃から出た後、鰓の隙間から外へ脱出していたことがわかった。
気象庁は2日、7月25日頃に山形県と秋田県で発生した記録的な大雨は、東北地方に停滞した梅雨前線と、日本海側からの暖かい水蒸気の流入及び上空の寒気が原因であると発表しました。これにより大気が非常に不安定な状態となり、山形県では線状降水帯が形成され、2回にわたって大雨特別警報が発令されました。
気象庁異常気象分析検討会の報告によると、この水蒸気は台風3号と西日本に張り出した太平洋高気圧の影響で日本海側に流れ込み、梅雨前線に達しました。また、山形県上空の約5800メートルでは氷点下6度以下の寒気が広がり、大気が不安定になり、雨雲の発達と線状降水帯の形成を促進しました。
防衛省統合幕僚監部は26日、中国軍のY9情報収集機1機が同日午前11時29分から31分頃にかけて長崎県男女群島沖の上空で領空侵犯したと発表しました。これは中国軍機による初の領空侵犯の確認です。同省は中国側の意図について現在分析しています。
外務省の岡野正敬事務次官は、同日午後に中国の施泳駐日臨時代理大使を呼び出し、厳重に抗議し、再発防止を強く要請しました。施氏は本国への報告を約束しました。
防衛省の報告によると、中国軍機は男女群島の南方から飛来し、午前10時40分頃に旋回飛行を開始しました。領空侵犯後も近くで旋回を続け、午後1時15分頃に去りました。
航空自衛隊のF2、F15戦闘機は緊急発進し、無線で警告を行い、英語と中国語で飛行経路の変更と退去を求めました。
SNSを通じて投資話を持ちかける「SNS型投資詐欺」グループの拠点が摘発された事件で、大阪府警は18日、詐欺容疑で公開手配されていたリーダー格の上家夕貴(30)=住所不明、吉岡公充祥(29)=大阪市西区江戸堀=の両容疑者を逮捕しました。
府警特殊詐欺捜査課によれば、2人は17日に府警本部に自首し、「もう逃げられないと思った」と供述しています。
府警は先月23日、大阪市内のビルにあった2つのグループの拠点に一斉捜索を行いました。逮捕された2人はそのうちの1つのグループのリーダーで、上家容疑者は詐欺行為の統括、吉岡容疑者は資金管理を担当していたと見られています。同課は、上家容疑者と共にグループを率いていたとされる中村晋弥容疑者(41)の行方を捜しています。
太平洋戦争末期に米国に向けて放たれた「風船爆弾」に関する企画展が、福島県いわき市勿来関文学歴史館で開かれている。最初の風船爆弾が放たれてから今年で80年。基地の電気工事に従事した同市の石井利水さん(96)は、自分の苦しい記憶を進んで話してこなかったが、「自分が話さなければ」と同展に合わせて当時の体験を証言した。
「晴れた日の夕方、西日で照らされ、青色に輝く風船が連なって太平洋の水平線のかなたに消えていく。きれいだったので、上がるたびに見に行った」。石井さんはこう振り返る。
義務教育を終え、同級生の多くが軍隊に入るか、首都圏の工場へ行く中、石井さんは家業の農家を継ぐため地元に残り、1943年に勿来実業学校(当時)に入学した。
同校2年だった44年6月ごろ、いつも通り登校すると、旧陸軍の車が校門に来ており、「乗れ」と指示され、15人ほどの同級生と車に乗り込んだ。作業場に到着すると、「ここでの作業はもちろん、ここに来ていること自体、絶対に誰にも言うな」と口止めされた。
石井さんらは、基地を囲む山の稜線(りょうせん)を越えて電線を引く作業の担当となり、約3カ月間ほぼ毎日作業に当たった。「何も知らされず、指示されるがまま何度も山を上り下りした。風船爆弾の基地と知ったのは、(風船爆弾を放つ)放球が始まった後だった」と石井さんは話す。
石井さんは、こうした過去を話してこなかったが、いわき市の風船爆弾の学徒動員に関する記録に、母校の「勿来実業学校」の名前がなかったことを知り、「基地は跡形もなく、証言できる同級生もみな亡くなってしまった。自分が話さなければ」と思い立った。
石井さんは「当時は何も思わなかったが、今考えるとばかなことをしていたと思う。戦争だけは駄目だと言いたい」と語った。
同展は9月1日まで。風船爆弾に関する資料と共に、石井さんら3人の証言記録が展示されている。
ニッポン放送(東京)は5日、タレントのフワちゃんが担当するラジオ番組「フワちゃんのオールナイトニッポン0(ZERO)」(毎週火曜午前3時)の6日放送を休止すると発表しました。これは、SNS上でフワちゃんによる不適切な投稿が確認されたためです。
フワちゃんは、4日に自身のSNSで他のタレントに対する発言を投稿し、物議を醸していました。5日には、「投稿を見た方々、そして当事者に深く傷つけてしまったことを深く反省しております。心からお詫び申し上げます」とSNSで謝罪しました。
東京都品川区戸越の住宅で元妻や3人の子どもを殺害したとして、無職後藤祐介容疑者(46)が逮捕された事件で、東京地検が同容疑者の鑑定留置を裁判所に請求し、認められたことが30日、関係者への取材で分かった。9月27日までの2カ月間で、刑事責任能力の有無などを調べる。
事件は5月22日夜に発生。同容疑者は元妻の介護福祉士高波冬美さん(37)と小学1年の長女後藤鈴さん(6)、保育園児の次女玲ちゃん(3)、長男信ちゃん(2)の胸や首を包丁で突き刺すなどした上、自宅に放火して殺害したとして、警視庁に逮捕された。
同庁捜査1課によると、同容疑者と高波さんは同20日に離婚が成立。同26~27日ごろに同容疑者が退去する予定だったが、事件当時は5人での生活が続いていた。
同容疑者は調べに対し、「(高波さんから)家を出るよう執拗(しつよう)に叱責され、カッとなり刺した」「母親が死んで、父親が捕まるとかわいそうだと思った」と供述し、容疑を認めていた。
中華丼、釜飯、串揚げなどに不可欠なウズラの卵。2月に福岡県の小学校で水煮卵が原因で死亡事故が発生し、学校給食での使用が見合わされる動きが拡がっています。全国の生産の6割以上を占める愛知県では、加工メーカーの在庫が積み上がり、親鳥の飼育を減らす農家も現れています。地元自治体は支援を呼びかけています。
「新型コロナの休校も厳しかったが、今は出口が見えない」と、名古屋市の大手加工メーカー「天狗缶詰」の担当者は語ります。同社によると、ウズラの卵の水煮の給食向け出荷は事故後大幅に減少し、6月は前年の約6割に留まりました。愛知県豊川市の工場倉庫では、出荷が滞った商品の在庫が増え、6月末には前年の約1.8倍に達しました。
国内唯一のウズラ専門農協「豊橋養鶉農業協同組合」(愛知県豊橋市)では、約300万個の水煮卵を保管できる倉庫が満杯になり、5月には組合員に生産調整を要請しました。親鳥の数を減らし、卵の生産量を下げてもらいました。職員は「賞味期限が近い商品を40%引きで販売してスペースを空けたが、追いつかなかった」と残念がっています。
約80万羽を飼育する「高林ファーム」(愛知県豊橋市)も、加工メーカーの要請で約4万羽を減らしました。高林勝弘専務(45歳)は「飼料価格の高騰や輸入品の増加で、業界は以前から厳しい状況が続いている。廃業する農家も出てくるかもしれない」と心配しています。
愛知県によると、県内の23農場で約265万羽のウズラを飼育し、卵の生産量は全国の6割以上を占めており、豊橋市など東三河地域で大部分が生産されています。
地元の特産品を支援するため、「食べて応援」キャンペーンの一環として、豊橋市の職員有志と市議は6月に養鶉農協から賞味期限が迫った水煮約5000パックを購入しました。県も、今月始まった大相撲名古屋場所の優勝力士に、知事賞の副賞として水煮1万個を贈ることを決定しました。
他の自治体や企業も支援を広げており、豊橋市の担当者は「ウズラの卵は栄養価が高く、よく噛んで食べれば問題ない。全国の学校給食で再び使用されるようになるまで、できる限りの支援をしたい」と述べています。
在日米軍は15日、岩国基地(山口県岩国市)に海軍の輸送機CMV-22オスプレイを配備すると発表しました。これは海軍のオスプレイが日本に配備される初めてのケースです。中国がインド太平洋での影響力を強める中、抑止力を高める狙いがあります。
発表によると、CMV-22オスプレイはこれまで岩国に配備されていた旧型のC-2輸送機と置き換えられます。また、空母艦載仕様の最新鋭ステルス戦闘機F-35Cも岩国に駐留させる予定です。米軍は「インド太平洋の安全保障環境を踏まえ、米海軍は最も性能の高い艦船や航空機を前方に駐留させる必要がある」と説明しています。
一方、防衛省の松本尚政務官は山口県庁を訪れ、村岡嗣政知事に配備を伝達しました。村岡知事は「安全性等について確認していく必要がある」と述べ、今後、地元の市町と調整して騒音や安全性などの懸念点について国に文書で照会し、回答を求めるとしています。松本政務官は「米側とコミュニケーションを取りながら、早く情報を地元に伝えたい」と強調しました。
環境省の有識者検討会は8日、住宅地にクマが出没する際、特定の条件下で猟銃使用を許可する方針を決定した。次期国会では、鳥獣保護管理法の改正を目指している。
現行法では、住民の安全を確保するため、住宅密集地での発砲は原則として禁止されており、警察官が緊急性を認め命令した場合のみ、猟友会のハンターが発砲できる。
しかし、市街地でのクマの出没が増加し、捕獲作業中の住民や自治体職員の負傷事故が多発している。これにより、警察官の命令を待たずに対応できるよう、法改正を求める声が高まっていた。
新たな方針では、人身被害の危険がある場合、建物内にクマが侵入した場合、または箱わなでクマを捕獲した場合に限り、猟銃の使用を可能とする法改正を提案している。また、ハンターの技術基準を設け、夜間狩猟も許可する内容を含んでいる。環境省は、具体的な適用条件について今後検討を進める。
2023年度にはクマによる人身被害が219人に上り、過去最多を記録した。今年度もすでに34人が被害に遭い、そのうち2人が死亡している。
日本は7月3日から新しい紙幣の発行を開始します。ネパールの農家であるオム・ムキヤさん(52歳)は、「自分が育てたミツマタが使われることを非常に嬉しく思う。日本は友好国であり、これは励みになる」と述べています。
日本国内では農家の高齢化によりミツマタの生産量が減少しており、ネパールを含む外国産が主流を占めています。
イラム郡の山間部で農業を営むムキヤさんは、日本での需要増を知り、2020年に独立しました。以前は他のミツマタ農家で働いていましたが、自分の畑を開墾し、栽培を開始しました。彼は以前は「日本の紙幣に使われていることを知らなかった」と言います。収穫されたミツマタは、樹皮を剥いで日本の企業に納品されます。
独立してから、彼の年収は約40万ネパール・ルピー(約50万円)に増加しました。彼の8人の子供たちは郡の中心部の学校に通っており、「教育費に役立っている」と言います。ミツマタの栽培は他の農家にとっても重要な収入源です。
ネパールでのミツマタ栽培は、大阪市にある政府刊行物専門店「かんぽう」が1990年代から貧困対策の一環として支援しています。2016年には、国際協力機構(JICA)が栽培および加工技術の普及と実証事業を担当しています。
中国江苏省苏州市で、日本人の母子が中国人と思われる男に刃物で襲われ負傷する事件が発生した後、北京の日本大使館は24日深夜、在留邦人に対して外出時の安全に注意を払うよう呼びかけました。最近、中国各地の公園や学校、地下鉄など人が集まる場所で刺傷事件が多発しており、「周囲の状況に十分注意を払うように」との注意喚起がなされています。
事件は24日午後に起こり、蘇州日本人学校のスクールバスを待っていた日本人の母子が負傷しました。病院で治療を受け、命に別状はないとされています。案内係の中国人女性も切りつけられ、重体になっています。
同校は25日を休校とし、中国内の他の日本人学校でも警備を強化しています。事件の詳細はまだ明らかになっておらず、在上海日本総領事館が現地に職員を派遣し、事実関係の確認を進めています。
昨年、SNS上で著名人の名前や写真を無断で使用した広告による詐欺被害が急増し、消費者からの相談件数が前年の約10倍にあたる1629件に達した。契約金額も約3倍に増加しており、国民生活センターはSNSでの勧誘に対して警戒を呼びかけている。
同センターによると、2022年度には全国の消費生活センターに170件の相談があり、平均契約金額は234万円だったが、昨年度は1629件で平均契約金額が687万円に急増した。特に投資関連の相談では、契約金額が高額になる傾向があり、最高額は1億7000万円にものぼった。
今年1月には、60代の女性がSNS広告を通じて有名な経済評論家の投資相談に登録し、アシスタントを名乗る人物から更なる利益を約束され、総額1500万円を振り込んだ。しかし、利益を出金しようとした際には、手数料900万円と税金1300万円が必要だと要求された。
警察庁によると、昨年7月以降、この種の被害が増加しており、今年の1月から3月までには1700件、総額約220億円に上る被害が報告されている。この問題に関連して、被害者や実業家の前沢友作氏らは、偽広告を放置したとして米IT大手のメタ社に対し損害賠償を求める訴訟を起こしている。また、政府は18日にSNS運営事業者に対して広告の事前審査の強化を要請するなどの総合対策を策定した。
国民生活センターは、著名人の信用を悪用した勧誘が増えている一方で、SNSの広告審査が十分ではないと指摘し、自衛が必要だと警告している。振込先が個人名義であれば詐欺の可能性が高く、不審に思ったらすぐに相談するよう呼びかけている。
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)は、10日までに文部科学省に1月から3月までの財産目録を提出した。この団体は「指定宗教法人」として財産監視が強化されており、今回の報告は四半期ごとの義務付けられた初めてのものだった。
文部科学省は昨年10月、この団体に対する解散命令を東京地方裁判所に申し立てた。宗教法人の財産が命令決定前に失われることを防ぐため、12月に特例法が制定された。そして今年3月、文部科学省はこの法律に基づき、団体を指定宗教法人とした。
関係者によれば、財産目録はこの月の7日に提出され、収支計算書と貸借対照表も一緒に報告された。
特例法では、財産の隠匿や散逸の恐れがある場合、被害者が財産目録を含む書類を閲覧できる「特別指定宗教法人」に指定することが可能である。文部科学省は、現在のところそのような情報はないとしながらも、提出された財産目録を詳細に検討している。
3日午前6時31分ごろ、石川県能登地方を震源とする地震があり、同県輪島市と珠洲市で震度5強、能登町で震度5弱の揺れを観測した。気象庁によると、震源の深さは約10キロ、地震の規模(マグニチュード=M)は5.9と推定される。
原子力規制庁によると、北陸電力志賀原発(石川県志賀町)、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市、刈羽村)に、地震による異常はみられないという。JR東日本によると、上越新幹線と北陸新幹線が停電で一時運転を見合わせた。
同6時40分ごろには、能登半島沖を震源とするM4.8の地震も続発し、珠洲市で震度4を観測した。
最初の地震の主な各地の震度は次の通り。
震度5強=石川県輪島市、珠洲市
震度5弱=石川県能登町
震度4=石川県七尾市、穴水町、新潟県上越市
震度3=金沢市、新潟市、福島県只見町、富山市、福井市、長野市。
日本初の月面軟着陸に成功した小型無人探査機「SLIM(スリム)」が科学観測用分光カメラ(MBC)で撮影した月の石の一つに、鉱物の「かんらん石」が豊富に含まれていることが分かった。地下のマントル物質に由来する可能性があるといい、月の起源を知る手掛かりになると期待される。SLIMの科学観測を担当する立命館大、会津大などの研究チームが27日、千葉市内で開かれた日本地球惑星科学連合の大会で発表した。
月の起源を巡っては、原始地球に別の天体が衝突し、現在の地球と月が誕生したとする「巨大衝突説」が有力。その経緯を知るには月の体積の9割を占めるマントル物質に由来するかんらん石を採取し、地球のものと比較する必要がある。
SLIMは今年1月、クレーター生成時に地下からマントルが噴出した可能性の高い地域に着陸。犬種にちなんだ名前を付けた周囲の石10個をMBCで観測し、鉱物組成などを調べた。
その結果、「ダルメシアン」と名付けた石にはかんらん石が多く含まれていることが判明。「ビーグル」には斜長石が多いなど、石ごとに特徴が異なることも分かった。
研究チームの佐伯和人・立命館大教授は「マントル由来と確定するにはさらに検討が必要だが、かんらん石がしっかり含まれていることは確認できた」と話した。
大竹真紀子・会津大教授も「検証しないと断言はできないが、(特徴が)地殻のものなど他の起源とはかなり違うと思う」と期待を寄せた。
厚生労働省が23日発表した2023年度の毎月勤労統計調査(確報、従業員5人以上)によると、現金給与総額(名目賃金)に物価の変動を反映させた実質賃金は、前年度比2.2%減となった。賃金の伸びを物価上昇が上回り、2年連続のマイナスとなった。
昨年8月に台風7号が近畿を縦断した際、鳥取県に特別警報が出るほど大雨が降った背景には、日本海の記録的に高い海面水温に加え、北陸で発生したフェーン現象があることが分かった。台風の湿った風が反時計回りに北陸の山々を越え、フェーン現象が起きて高温で乾燥した空気が北陸沖に流れ込んだ結果、海面から発生する水蒸気が増え、鳥取県上空に北から回り込んで大雨をもたらしたという。
気象庁気象研究所の辻野智紀研究官らが、観測データの解析とコンピューターによるシミュレーションで明らかにした。辻野研究官は「台風の影響でフェーン現象が起きるのはよくあることだが、その後に高温の空気によって沖合で何が起きるかはこれまで注目されてこなかった」と話している。研究成果は日本気象学会がオンラインで開く春季大会で22日に発表される。
昨年8月15日は早朝に7号が紀伊半島に上陸し、岡山、鳥取両県で積乱雲が連なる線状降水帯が発生。午後には7号が兵庫県を北上し、新潟県長岡市(寺泊)で最高気温が39.6度を観測する一方、鳥取県で山沿いを中心に大雨となり、鳥取市に特別警報が夕方から深夜まで出された。
昨年8月は山形県から能登半島にかけての沿岸海域で、海面水温が日本海側で観測史上初めて30度以上となった。
政府は、原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定に向け、第1段階の「文献調査」の実施地域拡大を目指している。佐賀県玄海町が10日に調査受諾を表明したことについて、斎藤健経済産業相は「非常に重要な一石を投じるものだ」と歓迎した。ただ、最終処分事業を前進させるには、乗り越えるべき課題が山積している。
調査は3段階で行われ、第2段階の「概要調査」や最後の「精密調査」を含めると期間は20年程度にわたる。原子力発電環境整備機構(NUMO)は2002年から候補地を公募しており、20年に北海道寿都町と神恵内村で文献調査が始まったが、他の地域には広がっていない。
海外の処分場選定プロセスを見ると、10件程度の地域から絞り込まれている例もある。政府は昨年度、最終処分に関する住民向け対話型説明会を全国で22回開催。斎藤氏は記者団に「わが国でも調査実施地域の拡大が重要だ」と述べ、引き続き情報提供などに力を入れる考えを示した。
ただ、今後も調査実施の動きが広がるかは見通せない。23年には長崎県対馬市議会が調査受け入れの請願を採択したが、観光・水産業への風評被害を理由に市長が受け入れを拒否した。文献調査を実施しても、都道府県知事や市町村長の同意がなければ次の段階には進めず、処分場選定の道は険しい。
「屋根が壊れている」とうそを言い、高額なリフォーム代金をだまし取る悪質業者の相談が急増し、警視庁が警戒を強めている。取り締まりの強化に加え、被害に遭いやすい一軒家を戸別訪問し、被害防止の啓発にも力を入れる。
国民生活センターによると、屋根工事の「点検商法」に関する相談件数は2018年度に923件だったが、22年度は2885件と5年間で約3倍に増加した。
警視庁によると、悪質業者は一軒家を訪れ、「屋根が飛ばされると近所に迷惑がかかる」などと言って契約を結ぼうとする。住人が自ら屋根に上る機会が少ないことに目を付け、点検と称して上った屋根を自ら破壊し、「修理が必要」とうそをつくケースもあるとみられるが、住民は被害に気付きにくいのが特徴だ。
屋根工事を巡るトラブルは能登半島地震の被災地でも相次いだ。同センターには、業者に高額契約を結ばされ、解約を申し出ると、ブルーシートを掛けた代金として約8万円を請求されたとの相談などが寄せられた。
悪質業者の摘発に力を入れる同庁は3月、「屋根の一部が飛びそうだ」とうそをついて工事代金をだまし取ろうとしたとして、詐欺未遂容疑で、20代のリフォーム会社元社員を逮捕した。契約を結ばされた川崎市の30代男性は、約52万円を請求されていた。
4月には「悪質業者は録音して110番通報します」と記載した防犯ステッカー20万枚も作成した。インターホンに貼れる大きさで、各警察署の署員が一軒家を訪問し配布している。
防犯対策の強化に取り組む同庁の二宮健生活安全総務課長は「飛び込みで点検に来る業者には注意し、不安を感じたらすぐ警察に相談してほしい」と呼び掛けている。
国立科学博物館筑波実験植物園(茨城県つくば市)は27日から、園芸用に人気の花「クレマチス」のコレクションを特別公開する。新品種から準絶滅危惧種の日本の野生種まで、約250種類の多彩な花が楽しめる。6月2日まで。
同園によると、ゴールデンウイーク中は日本古来の品種「カザグルマ」が見頃。全国各地に分布するが、産地ごとに花の色や形が異なる。近年は土地の開発などによって数が減少しており、準絶滅危惧種に指定されている。会期の後半には、福島県で生まれた新品種「エールフクシマ」などが見頃を迎えるという。
同園の研究員村井良徳さんは「これだけの種類のクレマチスが見られるのは今だけなので、ぜひ来てほしい」と話している。
中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)の特別部会が19日に示した素案では、「定額働かせ放題」とやゆされる教職員給与特別措置法(給特法)の枠組みを維持する方針が示され、抜本的な見直しは見送られることとなった。深刻化する人材不足を解消するためにも、素案で打ち出した負担軽減策の実効性が問われる。
「残業を減らすための法律改正をしてほしい。残業代の支給を決断すれば、確実に業務は減る」。現役教員や大学教授でつくる「給特法のこれからを考える有志の会」が同日記者会見し、メンバーで高校教諭の西村祐二氏はこう指摘した。
給特法を巡っては、時間外勤務を抑制する機能を働かせるためにも、働いた分だけ残業代を支払う仕組みに改めるよう求める意見が根強い。だが、特別部会は「教員はどこまでが職務なのか切り分けることが困難」とし、現行の仕組みは合理性があると結論付けた。
素案では長時間労働の是正に向け、小学校での教科担任制の拡大や、若手を支援するための中堅向けのポスト新設なども同時に示した。
文科省はこれまでも働き方改革の手だてを講じてきたものの、勤務時間の大幅な削減にはつながっていない。特別部会の貞広斎子部会長は、「(素案に)書いていることをいかに実装できるかだ」と語り、各施策を着実に実行することが重要と強調した。
国立成育医療研究センターは12日、骨の成長を促す遺伝子の発現量が異なることが男女の平均身長差に影響しているとの研究結果を発表した。膝や指の軟骨組織を男女別に解析したところ、成長遺伝子の発現量は男性の方が多く、女性は活動の抑制が示唆されたという。
身長は、骨の末端近くにある「成長板軟骨」の細胞が外側に増殖すると伸びる。思春期が終わるころには成長板が骨に置き換わり、成長は止まる。身長の伸びには遺伝的な要素や成長ホルモンの働きのほか、栄養や睡眠など環境的な要因も影響する。
同センターなどの研究チームは、成人22人の膝軟骨と小児14人の指軟骨について、それぞれ男女の検体を解析。その結果、骨の成長を促す「SHOX遺伝子」の発現量は、成人か小児かを問わず男の方が多いことが分かった。これまでは男女で違いはないとみられていた。
SHOX遺伝子は、異常が生じると低身長症や骨系統の疾患の原因にもなる。同センターの深見真紀分子内分泌研究部長は「長年謎だった平均身長の男女差を理解する大きな一歩。低身長症の人への新しい治療法にもつながるかもしれない」と話している。
太平洋戦争末期の沖縄戦で失われたとみられていた琉球国王の肖像画「御後絵」を含む美術品が米国で発見され、3月に沖縄県に返還された。返還に協力した米連邦捜査局(FBI)は「(戦時)略奪品と確認した」とする一方、見つかった家の住人だった退役軍人に沖縄戦の従軍歴がないなど、流出した経緯には謎も多い。
御後絵は歴代国王の死去後に制作され、琉球王国を代表する文化遺産の一つ。周囲の人物より王の姿をひときわ大きく描くことで権威が誇示されている。これまでモノクロ写真しか残っておらず、正確な色調は分かっていなかった。
今回返還されたのは御後絵6点のほか、陶磁器や手書きの地図など計22点。うち第13代「尚敬王」(在位1713~1751年)の御後絵は縦横150センチ超で、王の赤い衣服や金色の背景が鮮明に残っていた。
FBIのウェブサイトによると、美術品はマサチューセッツ州の退役軍人宅の屋根裏で、遺品整理をしていた家族が発見。太平洋戦争末期に沖縄で収集されたことを記した手紙が添えられていた。ただ、手紙に署名はなく、退役軍人は第2次世界大戦に従軍していたものの、沖縄を含む太平洋地域には派遣されていなかった。
家族の通報を受けて昨年1月、FBIは捜査を開始。沖縄県への照会で、2001年に県教育委員会がFBIの盗難美術品ファイルに登録した品が含まれていることが判明した。美術品が退役軍人の手に渡った経緯は不明という。
県教委が登録した盗難美術品ファイルには、今回返還された品以外にも、王冠や王が儀礼の際に着る「皮弁服」、他の御後絵など11点がある。しかし、県によると持ち去った人物と現在の所有者は違う可能性が高く、発見に向けた手掛かりはほとんどないのが実情という。
奈良市内に生息するニホンジカのDNA型を福島大、奈良教育大などの研究チームが調べたところ、奈良公園を中心とした保護地区の外側では、市外から来たシカとの交配が進んでいることが新たに分かった。山間部では市外由来が大半を占めた。論文は2月、米学術誌に掲載された。
同公園周辺のシカは国の天然記念物に指定されている。研究チームは昨年、DNA型分析により、1000年以上にわたって外部と交流がなく、独自の遺伝子型を維持してきたことを突き止めていた。
近年、シカによる食害が深刻化しており、奈良県は生息域を奈良公園を中心とした保護地区と周辺の緩衝地区、外側の管理地区の三つに区分した上で、2017年から管理地区で捕獲を実施。緩衝地区では農作物を食い荒らしたシカを無期限で「特別柵」に収容している。
研究チームの兼子伸吾・福島大准教授(分子生態学)は「『奈良のシカ』を生物学的に再定義することが可能となった。今後、どのように保護していくか考える土台にしてほしい」と話している。
研究チームは17~19年に管理地区で捕獲されたシカ137頭の筋肉と、保護地区で採集したふん30頭分のDNA型を2種類の方法で分析した。
その結果、保護地区では独自の遺伝子型が維持されていた。一方、管理地区のうち山間部に近い地域では、紀伊半島各地で確認されている系統が大半を占め、緩衝地区の近くでは双方の交配が進んでいたという。
能登半島地震で大きな被害が出た石川県能登町松波地区に、約500年続く「松波米あめ」を守る親子がいる。食品メーカー「横井商店」の横井千四吉社長(74)と営業担当の長男裕貴さん(44)だ。製造に不可欠な設備が地震で壊れたが、補修し1カ月で再開にこぎ着けた。横井さんは「伝統の灯は絶やさない。声援を糧に頑張りたい」と話す。
松波米あめは、能登産の米に発芽させた大麦を混ぜて糖化させた液体を、3~5時間ほど煮詰めて作る。かつて城下町だった松波地区に戦国時代から伝わる製法で、自然で優しい甘さが特徴だ。かつては複数の米あめ店があったが、今は横井商店を残すだけとなった。
横井さんによると、あめ作りはその日の風向きや温度などで火加減を変える必要がある。品質を守るには、糖化させた液体を煮詰める鉄釜とそれを支える石製の土台が極めて重要だ。
元日の地震で鉄釜は無事だったが、土台に大きな亀裂が入った。土台は近くの石を使った特注品で同じものはない。そこで横井さんらはモルタルで亀裂を埋めることにした。補修は成功し、2月初めには製造を再開。生産効率は落ちたが、味はほぼ元通りになった。
地震でショックを受けた親子を勇気づけたのは、客からの励ましの声だ。店には「頑張ってください」「無理はしないで」など十数件の電話がかかってきたという。
横井さんは「もともと米あめ作りを残していきたいと思っていたが、励ましをもらい、その思いはさらに強くなった」と語る。裕貴さんも「能登半島は今、地震でピンチだが必ずチャンスを見つけたい。米あめの販売を通じ、能登半島を元気にしていきたい」と力を込める。
若者を中心に人気が広がるペダル付き原付きバイク「モペット」。原付きバイクと同じ扱いだが、電動アシスト自転車と同じ感覚で、免許を持たず、ヘルメットをかぶらないまま運転する人が後を絶たない。摘発や事故が急増しており、警察当局は警戒を強めている。
「免許が必要だと思わなかった」。昨年12月22日、東京都中野区の国道で警視庁野方署が実施した交通取り締まりで、警告を受けた飲食宅配代行サービス「ウーバーイーツ」配達員らは、こう口をそろえた。
この日は午後7時からわずか1時間で、モペットや、ペダルをこがずに走行できる改造自転車計8台の違法走行が確認された。乗っていた8人の配達員は、全員が外国人で、8人ともヘルメットを着用せず、7人は無免許だった。同署の担当者は「違反の意識がない。(交通ルールを)知らないでは済まされない」と危機感を募らせる。
警察庁によると、モペットに関する2023年の全国の摘発件数は、前年比約3.6倍の345件で、人身事故も同2倍超の57件と急増している。こうした事態に、同庁は今月5日、免許もヘルメットの着用も必要な原付きバイクに当たることを明記した道交法改正案を国会に提出。これまで通達で規定していたルールを明確化した。
そもそもモペットは、なぜ人気があるのか。一般社団法人「日本二輪車普及安全協会」の担当者は「新型コロナウイルス禍で公共交通機関を利用しにくくなったため」と指摘する。必要に応じて広まったという見方だが、ある捜査関係者は「見た目が自転車なので、逆走や違法駐車が目立たないことも理由の一つ」と分析する。
市販の部品を使って改造した電動アシスト自転車も課題だ。捜査関係者によると、改造車は、スピードが出やすく、モペットの半額以下で入手できる。ペダルをこがなくても走行する改造車は原付きバイクとして扱われるが、自転車のように利用する人が少なくないという。
モペットは海外では自転車扱いとされることもあり、警視庁は、複数の言語に対応したチラシの配布を検討している。
編集 岡山新報社・守破離俱楽部・輝く日本の会
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