◆全国地域のニュース

ロケットのエンジン試験で火災 JAXA開発の「イプシロンS」

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は26日の午前、鹿児島県の種子島宇宙センターで、開発中の小型固体燃料ロケット「イプシロンS」の第二段エンジンの地上燃焼試験を実施したが、異常燃焼により火災が発生しました。現在、JAXAは状況を調査中です。

試験は午前8時半頃に始まりました。このエンジンは昨年7月に秋田県の能代ロケット実験場で行われた試験で爆発事故を起こしており、その後の対策を施した上での再試験でした。

イプシロンは小型衛星を宇宙に運ぶために開発されたロケットで、イプシロンSはサイズを拡大し、衛星への振動を低減する改良を加えたモデルです。基幹ロケット「H3」との連携を通じて、競争力の向上を図っています。


名古屋市長選、広沢氏大勝 与野党推薦の大塚氏ら破る

名古屋市長選挙は24日に投票が行われ、無所属の新人で元副市長の広沢一郎氏(60)=保守推薦=が、前参議院議員の大塚耕平氏(65)=自民、立民、国民、公明推薦=や政治団体役員の尾形慶子氏(67)=共産推薦=などを大きな差で下し、初当選を果たしました。河村たかし氏によって後継者として指名された広沢氏は、市民税の減税を含む、河村市政約15年間にわたる政策を引き継ぐことを訴え、支持を集めました。投票率は39.63%で、2021年の前回選挙を2.49ポイント下回りました。

広沢氏は河村氏と協力して選挙戦を進め、後継者としての立場を強調しました。SNSを通じての情報発信で無党派層を中心に支持を拡大し、与野党を問わず既成政党の支持層も取り込みました。

大塚氏は市政の刷新を訴え、議会との対立を乗り越えようとしましたが、4党の国会議員の支援を受けながらも、支持層を固定することができませんでした。元会社員の太田敏光氏(76)、旅行会社経営の水谷昇氏(61)、元大学講師の不破英紀氏(64)、旧自治省(現総務省)の元職員鈴木慶明氏(85)も競り勝つことはできませんでした。


拉致被害者の家族が大規模集会 “すべての被害者帰国実現を”

北朝鮮による拉致被害者の家族が、石破政権発足後初の大規模集会を23日、東京で開催しました。家族の高齢化が進む中、拉致問題の解決は時間との戦いです。家族は、政府に対し、被害者全員の早期帰国を実現するよう求めました。

 

23日、東京の千代田区で拉致被害者の家族や支援者が集会を開き、石破総理大臣を含む約800人が参加しました。

 

現在も安否不明の拉致被害者は少なくとも12人に上りますが、生存している親は横田めぐみさんの母、88歳の早紀江さんと有本恵子さんの父、96歳の明弘さんの2人だけです。この2人も23日の集会に出席しました。

 

最初に、横田めぐみさんの弟である家族会代表の拓也さんが、「姉を含むすべての拉致被害者が救出を待っています。2002年の日朝首脳会談から22年が経過しても状況は変わらず、親世代は多くが亡くなりました。日朝両政府には、時間の制限を強く意識してほしい」と訴えました。

 

石破総理大臣は、東京と北朝鮮に連絡事務所を設置し交渉の足がかりを作る考えを示していますが、「北朝鮮は厳格な監視国家です。居場所が不明という虚偽の前提に基づく提案に応じず、堅実な外交を続けてほしい」と要求しました。

 

続いて、横田早紀江さんは、「長い年月と言い尽くせない悲しみを経験しています。もし皆さんの家族が突然いなくなり、帰ってこない、行方も分からない、それが北朝鮮の拉致だとしたら、どんな気持ちになるでしょうか」と語りました。

 

そして、「私たち日本は、貴重な若者を失いました。拉致された人々は、就職し、才能を発揮し、親の願いを受け継ぎ、日本に良い影響を与えたかもしれません。日本は本当にこれで良いのでしょうか。どうか全国の皆さん、自分の家族だったらと思い、支援をお願いします」と訴えました。

 

また、22年前に帰国した曽我ひとみさんは、まだ帰国できていない母、ミヨシさんについて、「母は来月93歳になりますが、半世紀近く会えていないのは本当に悔しいです。たとえ短い時間でも、親孝行をさせてください」と述べました。

 

集会では、親世代が生きている間に、被害者全員の即時帰国を実現するよう政府に要求し、北朝鮮に被害者の帰国を決断するよう促す決議が採択されました。


住民税、減税時は幅圧縮案 与党、地方財政配慮

 与党内で、「年収の壁」の見直しに関する議論が進行中であり、地方税の個人住民税と国税の所得税を分離し、減税する際には所得税の減税幅をより小さくする案が提案されていることが22日に明らかになった。この案は、大幅な税収減を懸念する地方自治体への配慮を反映している。

国民民主党は、所得税の非課税枠を年収103万円から178万円に引き上げることを提案しており、この引き上げ幅について与党と協議を行っている。国民民主党が提出した要望書には住民税の見直しは含まれていないが、党幹部は住民税も基本的に含むと述べており、これが議論の焦点となっている。

しかし、住民税の基礎控除を75万円引き上げると、地方の税収減は約4兆円になると見込まれ、これは2023年度の地方税収の約1割に相当する。このため、各地の自治体からは懸念の声が上がっている。

与党幹部は、二つの税制は根本的に異なる仕組みであると指摘している。また、別の幹部は、引き上げ幅を必ずしも連動させる必要はないと述べ、地方財政への影響を避けるための対策が必要であるとの見解を示している。


重文級?古代甲冑見つかる 奈良の博物館、福岡で出土

ヤマト王権と北部九州との関連性において重要な月岡古墳(5世紀中頃、福岡県うきは市)から発掘された多くの甲冑の一部が、奈良県立橿原考古学研究所附属博物館(奈良県橿原市)のコレクション内で新たに確認されました。以前に発見された出土品はすでに重要文化財として指定されており、新たに確認された遺物も同等の価値があると考えられます。博物館はこれらの遺物の保存処理と必要な調査を行った後、地元に返還し、研究を共同で進めていく予定です。

特別展「甲冑―古墳時代の武威と技術―」で展示されているこれらの遺物は、12月1日まで博物館で観覧可能です。

月岡古墳は全長95メートルの前方後円墳で、1805年(文化2年)に江戸時代に発掘されました。


後発薬4割、承認書と異なる製造 業界自主点検に「衝撃的」

日本製薬団体連合会(日薬連)は、ジェネリック医薬品を取り扱う172社全てが行った自主点検の結果、8734品目中、約40%にあたる3796品目で承認された製造方法と異なる製造が行われていたことを21日までに公表した。厚生労働省の会議で速報値として提出され、「品質や安全性には影響がない」と報告されたが、会議のメンバーからは「衝撃的な数値」との声が上がり、再発防止策が強く求められた。

後発薬は処方薬全体の約80%を占めており、品質不正が続出している。2021年以降、小林化工や日医工を含む21社が行政処分を受けている。これらの不正は医薬品供給不足の一因となり、厚生労働省は自主点検を通じて不適切な事案の防止を図っていた。

日薬連によれば、点検では書類の確認と従業員へのヒアリングを実施し、承認書と異なる方法での原材料の混合や品質試験が行われていた事例が明らかになった。また、承認書の記載ミスも発見されたが、品質や安全性に重大な影響を及ぼす相違は見つかっていないとされている。


石破首相に「マナー違反」の指摘 各国首脳に座ったまま握手

石破茂首相は、15日にペルーで開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議に出席し、座った状態で他国の首脳と握手を交わす様子が目撃されました。SNSではこれを「マナー違反」と指摘する声が上がっています。

首相は会場内の自分の席に座ったまま、ペルーのボルアルテ大統領と握手しました。また、官邸のウェブサイトには、カナダのトルドー首相やマレーシアのアンワル首相とも座ったまま握手をしている写真が掲載されています。これらの写真では、握手を求める相手は立っている状態でした。

さらに、SNSでは首相が各国首脳の歓迎イベントで腕を組んで踊りを見ている動画が投稿され、これに対しても「失礼だ」という批判がなされています。


広沢、大塚両氏が激しく競る 名古屋市長選情勢

電話による世論調査を行い、取材結果を踏まえて名古屋市長選(24日投開票)の情勢を分析した。無所属の新顔である日本保守党推薦の元副市長広沢一郎氏(60)と、自民党、立憲民主党、国民民主党、公明党が推薦する前参議院議員大塚耕平氏(65)が接戦を繰り広げている。共産党推薦の政治団体役員尾形慶子氏(67)は苦戦している。

投票先が未定の人が30%おり、今後の情勢に変動が生じる可能性がある。

支持政党別では、広沢氏は無党派層の30%を確保し、自民党支持層の約40%、国民民主党支持層の30%、立憲民主党支持層の約30%の支持を得ている。

大塚氏は公明党支持層の60%を獲得しているが、4月まで所属していた国民民主党支持層の40%しか確保できていない。立憲民主党支持層は40%以上、自民党支持層は30%以上、無党派層は20%以上である。

尾形氏は共産党支持層の50%以上を集めているが、その他の層からの支持は限定的である。


平賀源内の「エレキテル」、歴史的偉業に 米学会が「マイルストーン賞」認定

江戸時代の発明家、香川県さぬき市出身の平賀源内が作った日本最古の摩擦型発電器「エレキテル」が、アメリカの電気電子技術者協会(IEEE)から「マイルストーン賞」を受賞しました。地元の人々は源内の功績を称え、「勇気と元気をもらった」と喜んでいます。

エレキテルは木箱に収められた発電装置で、ハンドルを回すことで静電気を生成します。源内は1776年、鎖国中の日本でオランダから輸入された装置を改良し、湿度の高い日本の環境に合わせて復元しました。10台以上が製造され、さぬき市の平賀源内記念館と東京都墨田区の郵政博物館にそれぞれ1台が展示されています。

今年の9月下旬にマイルストーン賞を受賞し、日本の電気研究の初期段階に大きな影響を与えたと評価されました。日本からはこれまで東海道新幹線やQRコードが受賞しており、世界では280件以上がこの賞を受けています。エレキテルはその中で3番目に古い記録となります。

源内の遺品を保存し、伝承活動を行ってきた平賀源内顕彰会の尾崎勝会長(65)は、「エレキテルの製作から約250年後に世界的な評価を受けたことに感動している。鎖国時代に現代の快適な生活環境の基礎を築いた源内のアイデアが評価されるのは嬉しい」と述べています。


子ども性被害防止、道半ば 奈良女児誘拐殺人から20年

奈良県で2004年、小学1年の有山楓さん=当時(7)=が誘拐、殺害された事件は17日で発生から20年。事件は性犯罪受刑者の出所者情報提供制度や、服役中の再犯防止プログラムが生まれる契機となった。しかし子どもへの性犯罪は後を絶たず、20年前にはなかった交流サイト(SNS)に絡む被害も増加。対策は道半ばだ。

 事件では小林薫元死刑囚=13年執行、当時(44)=が過去に性犯罪事件を起こしていたことから、再犯防止を求める世論が高まった。

 05年、子どもに対する暴力的性犯罪受刑者を対象に、出所予定日や出所後の所在地を法務省が警察庁に提供する制度が開始。23年5月までの対象者は計2546人に上る。06年には欲望の制御方法などを学ぶ受刑者向けプログラムも始まった。

 しかし兵庫県たつの市の小4女児刺傷事件で逮捕された勝田州彦容疑者(45)は過去の事件の服役中に受講し、出所後にさらに別の事件を起こしたことが確定刑事記録から分かっている。再犯根絶は遠いのが実情だ。


日米韓 首脳会談のあと共同声明 連携強化へ事務局の新設を発表

日本、アメリカ、韓国の3カ国は、南米ペルーの首都リマでの首脳会談後に共同声明を発表し、3カ国の連携をさらに強化するための調整事務局を新設することを明らかにしました。

 

アジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議に出席するため、ペルーの首都リマを訪れたアメリカのバイデン大統領、日本の石破総理大臣、そして韓国のユン・ソンニョル大統領は、日本時間の16日朝に約40分間の首脳会談を行いました。

 

会談の後、発表された共同声明では、「私たちの共同行動は、将来にわたり地域と世界の平和と安全を強化し続ける」と述べ、3カ国の連携をさらに強化するための調整事務局の新設を発表しました。

 

また、北朝鮮がウクライナとの戦闘のためにロシアに兵士を派遣したことについて、「ウクライナへの侵略戦争を危険なまでに拡大する決定」として、ロシアと共に強く非難しました。

 

そして、自衛権を行使するウクライナへの強い支持を表明しました。

 

さらに、中国が地域で覇権主義的な動きを強めていることを念頭に、「インド太平洋の海域での現状を一方的に変更しようとするいかなる試みにも強く反対する」と述べ、南シナ海での危険な海洋活動に反対し、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調しました。

 

バイデン大統領は、日米韓3カ国の首脳会談の冒頭で、東南アジアや太平洋島しょ国への支援、北朝鮮とロシアの軍事協力への対応などを挙げ、「私たちはどのような問題にも共に取り組んでいる」と述べ、3カ国の協力関係を評価しました。

 

そして、自身にとってこの3カ国の首脳会談が最後になる可能性があると述べ、「私たちは現在、大きな政治的変化の時を迎えており、3カ国の協力が今後何年にもわたってインド太平洋地域の平和と安定の礎となると信じている」と述べました。


稲作4割減、護岸崩壊で水田が沼に 能登半島地震、国の動き鈍く遠い復興

能登半島地震により、奥能登地方の水稲作付面積は40%減少しました。発生から10ヶ月が経過しても復旧は進んでいません。石川県穴水町の甲地区では、護岸が崩れ、住宅地と田んぼが海水に浸水しました。農家の泊一夫さん(76歳)は町を通じて再整備を求めましたが、国の対応は遅く、工事開始の目処は立っていません。「目の前の問題を解決しなければ復興はあり得ない」と述べています。

石川県によれば、輪島市、珠洲市、能登町、穴水町から成る奥能登地方の昨年の作付け面積は2800ヘクタールでしたが、地震後は1800ヘクタールに減少しました。さらに今年9月の豪雨で冠水した950ヘクタールのうち、約半分に土砂やがれきが流入しました。多くの農家が苦境に直面し、再開を断念しています。

泊さんは、入り江に面した甲地区にある築100年の家に住んでいましたが、全壊と判定されたため7月に解体されました。穴水町主催の会合で護岸工事を繰り返し要請しましたが、国からは明確な回答がありませんでした。「海水が容赦なく侵入してくる。自宅を解体し更地にしたら、地面がぐちゃぐちゃだった」と語ります。

現在、約100メートル離れた仮設住宅で妻のひろ子さん(75歳)と暮らしています。自宅前の水田は津波で泥が堆積し、現在も護岸の崩壊部分から海水が流れ込み、一帯は沼のようになっています。

近隣住民は、このまま住み続けることができるか心配しています。「高齢者が多い集落の復旧に税金を使うことは無駄ではないか」という声もありますが、泊さんは農業をやめるつもりはありません。

東京で暮らす孫が5月に帰省し、泊さんが別の場所で持つ水田で田植えを体験しました。「家族が正月や盆に帰省して安堵できる場所を残したい。能登にはそれだけの魅力と価値がある」と話します。泊さんは、里山里海の恵みに満ちた故郷を次世代に引き継ぐことが使命だと考えています。


住民税非課税世帯に3万円検討 子1人2万円上乗せも、物価高で

 政府は、住民税が非課税の低所得世帯に対し、一律3万円を支給することを検討していると13日に明らかになった。子育て世帯には、子ども一人につき追加で2万円を支給する案が提案されている。この経済対策は11月中にまとめられ、10月に終了した電気・都市ガス代の補助は来年1月に再開し、3月までの3ヶ月間実施される予定である。

価格高騰により影響を受けている低所得世帯を支援する目的がある。政府は、22日に給付金を含む経済対策を閣議決定し、その根拠となる2024年度の補正予算案を年内に成立させる意向だ。

民間のシンクタンクによれば、非課税世帯は1500万世帯にのぼる。3万円を支給すると、総額で4500億円の家計支援になると見込まれている。

電気・都市ガス代の補助は、来年1月から3月にかけての電力需要の増加に対応し、今年10月の使用分と同水準で行われる。来年3月の補助額は減額される予定である。また、ガソリン価格の高騰を抑えるための補助は、今年12月から段階的に縮小されることが検討されている。


ウオーターサーバー契約相談増加 違約金や強引勧誘トラブル

全国の消費生活センターでは、家庭用ウォーターサーバーの契約についての相談が増えています。「説明されなかった違約金を請求された」「勧誘がしつこい」といった問題があり、特に商業施設やイベントスペースでの勧誘によるトラブルが多いとされています。国民生活センターは、契約内容をよく確認し、必要ないと思ったら断ることの重要性を強調しています。

具体的なケースとしては、「乗り換えでキャッシュバックがあると聞いて契約したが、後で対象外だと告げられた」(20代女性)、「解約時に違約金の説明がなく、お得だとだけ言われた」(60代女性)、「レンタル契約だと思っていたが、実際には購入契約だった」(40代女性)などがあります。

ショッピングモールの特設ブースなどでのトラブルが特に多く、突然声をかけられて、冷静な判断ができずに勧誘されてしまうことが問題の一つと考えられています。国民生活センターは、強引な勧誘や急かすような事業者とは契約しないよう呼びかけています。


暖房器具、火災や死亡事故多発 異常がないか、設置場所点検も

製品評価技術基盤機構(NITE)は、暖房器具による火災が毎年発生し、死亡事故も多いことから、冬の訪れに先立ち、暖房器具の本体に異常がないか、また近くに可燃物がないかなどをしっかり点検し、事故を未然に防ぐよう呼びかけています。

NITEによれば、2019年からの5年間で暖房器具に関連する事故は582件に上り、そのうち8割以上が石油や電気を使用するストーブやファンヒーターによるものです。特に石油を使用する暖房器具では、高齢者の事故が多く発生しています。

石油ストーブでの事故は、給油口がしっかりと閉まっていないことによる油漏れ、ガソリンの誤給油、または上部に干されていた洗濯物が落下するなど、可燃物との接触が原因となるケースが多く見られます。


火災の海自掃海艇が転覆 沈没の恐れも、乗組員1人不明

10日午前9時50分頃、福岡県宗像市大島沖約2.5キロの地点で、海上自衛隊の掃海艇「うくしま」からエンジンルームでの火災と1人の取り残された乗組員の報告が第7管区海上保安本部に入った。消火作業が行われたものの、火は消えず、翌11日午前0時5分頃には艇が転覆した。海上自衛隊は、古賀辰徳3等海曹(33歳)の所在が不明であると発表し、事故調査委員会を設けて原因の究明を進めている。

転覆により火が消えたため、海上保安本部は捜索準備が整い次第、作業に取り掛かる予定である。

海上自衛隊の斎藤聡海上幕僚長は10日夜、防衛省で記者会見を開き、火災が拡大すれば沈没する可能性があると述べ、「国民に多大な心配をかけている」と謝罪した。

海上保安本部によると、10日午後には掃海艇「とよしま」から火が消えたとの報告があったが、再燃したことが確認された。

海上保安本部と海上自衛隊は救助と消火活動を行ったが、消火は困難で、午後3時45分頃には乗組員が「とよしま」に避難した。20代の男性乗組員が煙を吸い、喉の痛みを訴えて病院に搬送されたが、命に別状はないという。


リフォームで被害者宅訪問 強盗致死疑い、逮捕の男

宮城県警は、仙台市青葉区の男性を暴行し死亡させ、約1500万円の現金を奪ったとして、強盗致死の疑いで佐藤加寿也容疑者(44)を逮捕した。彼はリフォーム業者として被害者宅に出入りしていた。9日に勤務先の取材でこれが明らかになり、県警は同日、容疑者を送検した。

勤務先の情報によると、佐藤容疑者は昨年6月に初めて被害者の大塚修さん(当時72歳)の家に出入りし、事件が発生した今年2月21日の直前、15日にも作業をしていた。容疑者は秋田県大館市比内町地区の出身で、長年大工として働き、2020年に現在の会社に入社した。

県警は容疑者が事件に単独で関与したと見ており、事件の詳細な経緯を調査している。


能登の名城、復興へ調査 地震で崩落「価値再検証」

石川県七尾市の七尾城跡は、元日に発生した能登半島地震で石垣が崩落するなど大きな被害を受けました。「日本100名城」の一つとして、地元住民にも散策コースとして親しまれているこの城跡について、市は年内に調査と修復計画を策定し、早期の復興を目指しています。

専門家は、復旧の過程で新たな発見があるかもしれないと指摘しており、歴史的価値の再検証も期待されています。

七尾城は、戦国時代の16世紀前半に能登畠山氏によって居城として整備された、日本海側で随一の巨大な山城です。多くの武将が攻略に苦戦し、標高約300メートルの本丸からの眺望は、上杉謙信によって「絵に描き難い景勝」と讃えられました。国の史跡に指定されており、石垣は文化財にも指定されていますが、本丸などの建物は現存していません。

元日の地震で、石垣は崩落や変形を起こし、地面には亀裂や陥没が見られました。被害が大きかったのは23箇所で、特に石垣が大きく崩れた箇所は立ち入り禁止となっています。本丸部分への登山もできない状態が続いています。

市民団体「七尾城山を愛する会」の国分秀二氏(76)は、七尾城が市名の由来であり、地元にとって重要な場所であると述べ、早期の復旧を望んでいます。また、被災地支援で訪れた人々にも、一日も早く本丸跡からの美しい景色を再び楽しんでほしいと願っています。

2024年8月には、市と石川県、城郭の専門家たちが現地調査を行いました。市の担当者は、石垣に膨らみが見られ、再崩落の可能性があると説明しました。参加者からは、再崩落を防ぐ応急対策を講じれば、登山ルートを確保できるという意見が出ました。

現地調査では、築城当時の石垣の痕跡や、櫓門跡と思われる遺構も確認されました。名古屋市立大学の千田嘉博教授(城郭考古学)は、江戸時代に近い時期まで使用されていたことが伺え、調査と修復を通じて戦国時代の新たな歴史が明らかになる可能性があると述べ、復興過程は学術的にも注目されているとしています。

能登半島地震では、金沢市の金沢城にも大きな被害がありました。石川県によると、復旧には約15年かかると見込まれています。


厚生年金、年収問わずパート加入 「106万円の壁」撤廃へ、負担増も

厚生労働省は、会社員の配偶者などによって扶養されるパートタイムや短時間労働者が厚生年金に加入するための年収要件(106万円以上)を撤廃する方向で最終的な調整を行っている。また、従業員数が51人以上の企業規模の要件も撤廃される予定だ。週20時間以上働けば、年収に関わらず加入が可能になる。この変更は老後の給付を充実させることを目的としているが、保険料の負担が新たに発生する。これまでの厚生年金の年収要件は「106万円の壁」として知られ、保険料を避けるために労働時間を制限する要因となっていたと7日に関係者が述べた。

政府と与党は、国民民主党の提案に基づき、年収が103万円を超えた場合に発生する所得税の「年収の壁」を見直し、非課税枠の拡大を検討している。これに対して、厚生年金の年収要件を撤廃すると、手取り収入が減少する可能性があり、複雑な問題が予想される。

最低賃金の上昇により、週20時間以上働くと年収が106万円を超える地域が増加しているため、厚労省は現状に合わせて要件を撤廃することが適切だと判断した。来年の通常国会で関連する法案の提出を目指しており、見直しにより新たに約200万人が厚生年金に加入すると見込まれている。


富士山で最も遅い初冠雪 高温続き要因か、甲府地方気象台

甲府地方気象台は7日に、富士山(3776メートル)に初雪が観測されたと発表しました。これは1894年の観測開始以来、130年間で最も遅い記録です。例年よりも高い気温が続いたことが原因と考えられます。6日の朝、山頂の積雪は静岡県側や山梨県富士吉田市の麓から確認されましたが、曇りで甲府地方気象台からは視認できず、発表はありませんでした。

気象台によれば、この初冠雪は平年に比べて36日遅く、昨年に比べて33日遅い記録です。これまでの最も遅い記録は1955年と2016年の10月26日でした。

気象台は山頂から約40キロメートル離れた場所にあります。山頂では6日の夕方から夜にかけて、断続的に雪が降りました。


日本海でズワイガニ漁解禁 冬の味覚、兵庫の漁港で水揚げ

ズワイガニのシーズンが始まり、富山県以西の日本海では6日に漁が開始されました。兵庫県豊岡市の津居山港では、荒天によりわずか4隻の大型船が出港し、午前11時頃に帰港した際には、薄い赤紅色のズワイガニが水揚げされました。

磯橋真吾さん(49歳)の漁船は、雄約280匹、雌約3500匹を捕獲しました。「雄は少なめだが、雌は例年通りの数だった。これからの寒さで身が締まり、より美味しくなるだろう」と彼は述べました。

山陰地方で捕獲される雄のズワイガニは「松葉ガニ」として知られ、高級食材としての人気があります。資源を守るため、漁期は雄が来年の3月20日まで、雌は今年の12月末までとされています。


サイバー法案、年内見送りへ 首相交代で設計議論停滞

「能動的サイバー防御」に関する年内の法案提出が見送られる見込みであることが、政府関係者により3日に明らかにされた。政府は専門家会議を通じて制度の設計を進めていたが、岸田文雄前首相の退任により議論が停滞している。石破茂新首相は、衆議院選挙での与党の過半数割れを受け、困難な政権運営を強いられ、経済対策に関する与野党の協議に注力せざるを得ない状況だ。

能動的サイバー防御は、攻撃情報の検出のための監視強化や、敵サーバーへの侵入を含む攻撃の無効化を目的としている。しかし、憲法第21条による「通信の秘密」の保護や不正アクセス禁止法との整合性が問題となっている。

6月に設立された政府の専門家会議は、法的な問題を整理し、秋の臨時国会での法案提出を目指していた。しかし、8月6日の中間整理の直後に岸田氏が自民党総裁選への不出馬を発表したことで、会議は開催されず、進展が見られない状態が続いている。

防衛大臣経験者は、法案の提出は早くても来年の通常国会になるだろうと述べている。


森下洋子さんら秋の叙勲 旭日大綬章に古賀伸明氏

政府は2024年秋の叙勲受章者を3日に発表しました。今回、最高位の旭日大綬章は、古賀伸明元連合会長(72歳)と小沢鋭仁元環境相(70歳)に授与されます。舞踊歴70年以上の世界的バレリーナ、森下洋子さん(本名・清水洋子、75歳)には旭日重光章が、ソフトボール女子日本代表の元監督、宇津木妙子さん(本名・伏見妙子、71歳)には旭日小綬章が贈られます。

受章者は旭日章997人、瑞宝章2990人で、合計3987人です。このうち女性は439人で全体の11.0%を占め、丹野美絵子元個人情報保護委員会委員長(75歳)らが旭日重光章を受章しました。民間人は1866人で、全受章者の46.8%を占めています。


健康保険証廃止まで1カ月 後継のマイナ利用率は低迷

現行の健康保険証が新規発行停止となり、12月2日までに廃止されるまで残り1ヶ月となった。後継として、マイナンバーカードに保険証機能を持たせたマイナ保険証が導入されるが、利用率は依然として低い。政府は、既に発行された保険証が最大1年間有効であり、保険証の代わりに「資格確認書」を提供するなどの代替策を提案している。福岡資麿厚生労働相は記者会見で、国民の不安を解消するための丁寧な対応を行うと述べた。

マイナ保険証の使用には、マイナカードの取得と利用登録が必要である。医療機関では、顔認証付きカードリーダーで保険加入情報を読み取る。政府は、患者の同意があれば診療履歴の閲覧が可能で、より適切な治療に繋がると主張している。

しかし、9月時点での利用率は13.87%にとどまっており、マイナンバーに関する情報の誤連携による不信感が原因と考えられている。

現行の保険証は猶予期間が設けられており、有効期限内であれば2025年12月1日まで使用可能である。多くの健康保険組合は無期限で、その日まで有効である。


自民 国民と政策ごとに協議へ “103万円の壁”の見直し焦点

衆議院で与党が過半数を割り込んだ結果、自民党は国民民主党と政策ごとに協議を進めることにしました。国民民主党は所得税の基礎控除の引き上げを含む「103万円の壁」の見直しを求めており、双方の一致点を見つけることが焦点です。

 

与党が過半数を割り込んだ中、自民党は11月に新たな経済対策を決定し、そのための補正予算案を年内に成立させる意向です。

 

自民党の森山幹事長は10月31日に国民民主党の榛葉幹事長に協力を求め、政策ごとに協議を進めることになりました。

 

国民民主党は、衆議院選挙で訴えた「103万円の壁」の見直しを求め、所得税の基礎控除などを受けられる金額の引き上げを目指しています。玉木代表は、「何もしなければ、予算案も法案も通らない」と警告しました。

 

しかし、自民党内には、国民民主党の提案通りに控除額を引き上げると、国と地方を合わせて7兆円から8兆円の減収が見込まれるため、慎重な意見もあります。

 

また、公明党は11月1日に国民民主党と幹事長会談を行う予定です。

 

このような状況の中、石破内閣は11月1日で発足から1か月を迎えます。

 

特別国会での総理大臣指名選挙では、1回目の投票で決着がつかず、石破総理大臣と立憲民主党の野田代表との決選投票になる見通しです。

 

国民民主党は決選投票で野田氏ではなく玉木氏に投票する方針を固めており、石破総理大臣が再び多数の得票を得て総理大臣に選出される可能性が高まっています。野田氏も自身の選出が難しいと認識しています。

 

石破総理大臣は、再選された場合、衆議院選挙で議席を失った牧原法務大臣と小里農林水産大臣を交代させ、速やかに新内閣を発足させる予定です。

 

一方で、立憲民主党は小川幹事長が国民民主党の榛葉幹事長と会談し、自民党の政治資金問題を受けて政策活動費の廃止を含む政治改革を推進する方針で協力を模索しています。


長野 上田 きのこ生産大手「ホクト」工場で火災 消火活動続く

29日の夜、長野県上田市にあるきのこ生産大手「ホクト」の工場で火災が発生し、現在も消防による消火作業が行われています。警察によると、けが人や行方不明者は報告されていません。

 

警察の報告によれば、29日午後8時半頃、上田市塩川に位置する「ホクト」の上田第一きのこセンターで火事が起きました。

 

約30台の消防車が出動し、消火活動を展開していますが、鉄骨造りの2階建て工場1棟が全焼しており、大規模な工場のため、発火から約19時間経過した現在も火は完全には消し止められていません。

 

火災発生時、工場内には従業員がいなかったとされ、警察はけが人や行方不明者がいないことを再確認しています。

 

「ホクト」によると、現在燃えているのは出荷製品を包装する作業を行う「作業棟」です。

 

上田第一きのこセンターは、延べ床面積が20,070平方メートルで、主にブナシメジを生産し、1日の出荷量は約10トンです。

 

現場はJR上田駅から約8キロ離れており、消防は引き続き消火活動を行い、警察は火災の原因を調査しています。


国内で陸上養殖したサーモン 大手商社 販売などに乗り出す動き

健康志向の高まりを背景に、世界的にサーモンの需要が増加している中、国内で陸上養殖されたサーモンの販売に大手商社が相次いで参入しています。

 

「丸紅」は、ノルウェー企業が静岡県の陸上養殖施設で育成したアトランティックサーモンの販売をこの月から開始しました。アトランティックサーモンは刺身や寿司の具としての人気が高く、同社は来年の12月までに約4700トンを国内のスーパーや鮮魚店への出荷を計画しています。

 

養殖は、海から離れた富士山の麓の施設で行われており、人工海水をフィルターで濾過し循環させる技術が用いられています。

 

丸紅食品素材部の安藤悠真氏は、「国内での陸上養殖により安定供給が見込める。消費者の陸上養殖に対する認知度はまだ低いが、ジャパンブランドとしてのブランド力を高めたい」と述べています。

 

サーモンの陸上養殖については、三井物産が千葉県の施設で生産されたトラウトサーモンの販売を開始し、三菱商事と伊藤忠商事も2027年以降に国内生産のアトランティックサーモンの販売を目指しています。

 

サーモンの需要が増加する一方で、陸上養殖は大規模な設備投資が必要であり、運営コストも高いため、コスト削減が課題とされています。