□岡山のニュース

吉備中央町PFAS問題 全国初の公費による血液検査始まる

吉備中央町の浄水場で検出された有機フッ素化合物PFASの極めて高い濃度に関する問題で、町は25日に全国で初めて公費を用いた血液検査を開始しました。

 

午前8時半過ぎから、検査が行われた吉備中央町の施設には住民が続々と訪れました。この問題は昨年10月に発覚し、約1000人に水道水を供給していた浄水場の水から、国の暫定目標値の28倍に相当する高濃度PFASが検出されました。その後、対策が施され、現在は飲料水として安全に使用できる状態です。

検査対象は、浄水場の給水区域の住民や区域内で働く人々で、2歳以上で検査を希望した人々です。25日現在で790人が検査を受ける予定です。

採血は12月8日まで行われ、PFASの血液検査を公費で実施するのは全国で初めてのことです。

検査を受けた家族の一員である女性は、「影響があるかもしれないと心配なので検査を受けたい。影響があるようなら、町には迅速な対応を望む」と述べました。

吉備中央町の山本雅則町長は、「住民の不安を理解し、公費で検査を行う決定をした。今後も地域住民の不安を軽減するために努力したい」と述べています。

検査結果は来年1月に本人に郵送で通知される予定で、町が事前に行った健康調査票のデータと合わせて、岡山大学と川崎医科大学が詳細な分析を行います。

 

PFASの健康への影響については、世界中で研究が進められています。ドイツでは血液中のPFAS濃度の基準がすでに設定されており、健康への影響が懸念されるPFOAは10ng/ml、PFOSは20ng/mlとされています。アメリカの学術機関は、血中濃度が20ng/mlを超えると健康リスクが高まるとし、「脂質異常症」や「腎臓がん」「乳児・胎児の発育の低下」との関連を指摘しています。

吉備中央町の住民27人が昨年自主的に行った血液検査では、平均値が186ng/mlとアメリカの指針値の9倍に達しました。しかし、日本では国が「血液濃度と健康影響の関係を評価する科学的知見が不足している」として、血液検査に消極的な姿勢を示しています。

国内でPFASによる汚染が発見される中、他の地域の住民も公費での検査を求める声が上がっており、吉備中央町の取り組みが注目されています。


参院選に自民・小林元県議が立候補表明

元県議会議員の小林孝一郎氏が、来年夏に行われる参議院選挙の岡山選挙区からの立候補を意図していると発表しました。

 

小林氏は24日、岡山市での記者会見で「県議会議員時代に県内を隅々まで訪れ、地方の衰退を肌で感じた。地方創生にどう取り組むかを国で議論し、対策を講じる必要がある。国政で社会課題の解決に取り組みたい」と述べ、自民党からの立候補を表明しました。

47歳の小林氏は広島県福山市出身で、岡山大学医学部卒業後、医師として岡山大学病院で勤務。2011年に県議会議員選挙に初当選しましたが、3期目の途中で辞職し、2021年の衆議院選挙比例代表中国ブロックに立候補して落選しました。

県連は石井正弘参議院議員の不出馬を受けて公募を行い、小林氏を選定しました。そして24日、岡山市での会合で小林氏を岡山選挙区の公認候補として党本部に申請することを決定しました。

参議院選挙の岡山選挙区には、立憲民主党も公募を行っており、共産党も候補者の擁立を目指しています。


森の芸術祭 最終日を前に多くの人でにぎわう 奈義町

約2ヶ月間にわたり開催されてきた「森の芸術祭」は24日で最終日を迎えます。

 

作品が展示された奈義町は、多くの人々で賑わいました。

 

9月下旬に開幕した「森の芸術祭 晴れの国・岡山」では、奈義町内の各地に作品が展示され、23日は朝から多くの訪問者でにぎわいました。

その中でも奈義町現代美術館では、グラスに注がれた水の中に3Dプリンターで作られた白い雲を模した作品や、流れる水のスローモーション映像と笛の音が組み合わさった作品などが楽しめます。

また、美術館の近くの会場では、天井から多数の人工木を逆さに吊るし、床の鏡に映すことで、訪れた人々が森の中に浮かんでいるかのような不思議な感覚を体験しました。

大阪から来た女性は、「今まで見たことがないような展示がたくさんあり、とても楽しかった。また開催されることを願っています」と述べていました。

奈義町学芸図書課の飯綱陽子課長は、「芸術祭を通じて奈義町の魅力を多くの人に知ってもらえたのは嬉しい。アートを楽しむきっかけになったと思います」と話していました。

「森の芸術祭」は24日に全てのプログラムが終了します。


岡山県 行動計画の素案まとまる 重点戦略に少子化対策も

岡山県は、2025年度から4年間の目標を設定した行動計画の素案をまとめ、新たな戦略として少子化対策を重点的に取り組むことにしました。

 

2025年度から4年間の達成目標を定めた「第4次晴れの国おかやま生き活きプラン」の素案では、これまでの行動計画に含まれていた教育や産業振興に加え、「結婚・子育ての希望が叶う社会の実現」を目指し、少子化対策が新たに追加されました。この項目には、2028年の県内出生数を前年比663人増の12,238人にすること、男性の育児休業取得率を現在の39.2%から2028年には50.4%に上げることなど、具体的な数値目標とそれを達成するための取り組みが記されています。

 

伊原木知事は11月15日の定例記者会見で、「自分たちの未来や地域の未来に大きく関わる問題だと認識し、皆さんに少しずつ行動してほしい」と呼びかけました。

 

この素案は、パブリックコメントで寄せられた意見を参考にしながら、来年3月に正式に策定される予定です。


県内初の「日本版ライドシェア」玉野市で許可 中国運輸局

中国運輸局は、タクシー会社が主体となる「日本版ライドシェア」を玉野市で運営することを県内で初めて許可しました。このサービスでは、タクシー会社が管理し、一般のドライバーが自家用車で有料で乗客を運びます。下電観光バスが申請したこのサービスは、20日付けで許可され、玉野市内を発着する1台の車両に限り、金曜と土曜の午後4時から翌朝5時まで運行できます。サービスは来年4月の「瀬戸内国際芸術祭」開幕に合わせて開始され、余剰のタクシーを使用し、事務職員が運転を担当する予定です。下電観光バスは、瀬戸内国際芸術祭で多くの観光客が訪れることを見込み、地元住民の移動手段を確保したいとしています。


総社で側溝のふた持ち去り相次ぐ 窃盗事件として捜査

総社市では、今年9月以降、道路の側溝に設置された金属製の蓋が盗まれる事件が続発しており、警察が窃盗として捜査を行っています。

 

総社市によると、9月16日に市が道路や水路の維持管理を委託している土木担当者から「側溝の蓋がなくなっている」との報告がありました。市職員の確認によると、岡谷地区の市道側溝で「グレーチング」と呼ばれる金属製の蓋4枚が失われており、その後、他の地区でも同様の被害が確認されました。19日までに確認された被害は、岡谷で21枚、北溝手で6枚、久米で3枚の合計30枚で、被害総額は約61万円に上ります。

 

現場は夜間、交通量や人通りが少ない市道であるため、市の被害届を受け、警察が窃盗事件として捜査を進めています。市は警察と協力し、パトロールを強化すると共に、蓋をコンクリート製に変更したり、ボルトで固定するなどの対策を進めています。


岡山 北区の別の川や井戸水からも新たに「PFAS」検出

岡山市を流れる旭川の支流で、有害性が指摘される有機フッ素化合物「PFAS」の一部が国の暫定目標値を超えて検出された問題について、市は周辺の他の川や井戸水でも国の目標値を超える濃度が検出されたと発表しました。

 

岡山市はPFASが全国の河川で検出されていることから、主要な水源である旭川の支流で独自の水質調査を実施しており、北区御津地区の三谷川では国の暫定目標値の2.6倍の濃度が検出されていました。その後の調査で、三谷川に流れ込む石原川では最大で国の目標値の6.4倍、間瀬川では最大で目標値の2倍のPFASが検出されました。また、周辺の8カ所の井戸水も調査され、すべてで国の暫定目標値を超える濃度が検出され、最大で9.4倍の濃度が確認されました。これらの井戸は民間所有であり、市は所有者に対し井戸水の飲用を控えるよう呼びかけています。市は周辺の事業者に対して聞き取りを行いましたが、原因の特定には至っておらず、情報収集を続ける方針です。


吉備中央町PFAS問題 県医師会が検査結果踏まえた対応基準

吉備中央町の浄水場で検出された有機フッ素化合物・PFASの問題に関して、11月下旬より住民を対象に血液検査が実施される予定です。これに先立ち、岡山県医師会は診察を行う医師向けに検査結果に基づく対応基準をまとめました。

 

昨年10月、吉備中央町の円城浄水場からPFASが非常に高い濃度で検出されたため、町は808人の住民を対象に11月25日から公費で血液検査を行います。国内では血液中のPFAS濃度に基づく医学的対応基準がまだ定められていない中、一部の医師は検査結果による住民の不安の拡大を懸念しています。この状況を受け、岡山県医師会はアメリカの基準に基づいた対応基準を策定しました。この基準によると、血液1ミリリットルあたりPFASが20ナノグラム以上検出された場合、甲状腺機能の確認や腎臓がん、精巣がんの症状の有無の調査、及び血中の中性脂肪値の継続的なフォローが推奨されています。医師会は県内の医師に対して講習会を通じてこれらの基準の周知を図り、血液検査を受けた住民が診察を受ける際には、この基準に従った対応を行うよう求めています。岡山県医師会の松山正春会長は、「高い値が出た人が少しでも安心できるように、基準に基づいたフォローアップと支援を行いたい」と述べています。


新見市長選挙 石田氏初当選

新見市の市長選挙で、任期満了に伴い17日に投票が行われ、無所属の新人、石田實氏が現職を破り、初当選を果たしました。

 

新見市長選の結果は以下の通りです。

石田實(無所属・新):当選、7,919票。戎斉(無所属・現):7,615票。

68歳の石田氏は新見市出身で、石油販売会社を経営した後、平成25年に市議会議員に初当選し、令和3年から市議会議長を務めていました。

 

選挙では、人口減少対策を主要な争点とし、公共交通機関の見直しを提案。利用者の少ない路線は廃止し、地域イベントと連携してJR芸備線の利用促進や新見公立大学との連携を通じて市民の健康と福祉の向上を目指すと訴えました。

当選を受け、石田氏は「市民の願いは人口減少と少子高齢化の解決であると思うので、それに応え、持続可能で市民に優しい街づくりを進めたい。言葉に責任を持ち、迅速に様々な施策を実行していく」と述べました。

今回の新見市長選の投票率は68.89%で、前回の選挙から4.48ポイント下がりました。


鶴山公園で「津山城もみじまつり」始まる

鶴山公園で始まった「津山城もみじまつり」は、秋の楽しみを提供するイベントです。

 

この公園は国の史跡に指定されており、津山城の跡地に約80本のイロハモミジやオオモミジが植えられています。紅葉の季節には多くの観光客で賑わいます。

 

16日の初日にはオープニングセレモニーが開催され、地元の和太鼓グループが演奏し、関係者によるテープカットで祝賀が行われました。

公園内には「紅葉の散歩道」と称される並木道があり、訪れる観光客は色づき始めた紅葉を楽しみ、和傘のアート作品を撮影していました。

 

「津山城もみじまつり」は11月24日まで開催され、夜間のライトアップや週末の音楽イベント、地元グルメの販売、最終日には能の公演も予定されています。実行委員会の松岡裕司委員長は、紅葉と津山の食文化を楽しむことで、秋の津山を盛り上げたいと述べています。津山市観光協会によると、鶴山公園の紅葉は来週末が見頃になる見込みです。


津山市 100万円余横領の50代職員を懲戒免職

津山市は、市が運営するイベントの二つの団体の預金口座から合計約100万円を横領したとして、50代の職員を懲戒免職にしました。

 

懲戒免職されたのは、津山市地域振興部の課長補佐級の50代男性職員です。津山市によると、この男性は市が事務局を務めるイベントの実行委員会と市内住民組織の事務を担当しており、昨年5月から今年5月にかけて、二つの団体の預金口座から8回に渡り合計104万円を引き出し横領していたとのことです。この男性が今年8月に体調不良で休んだ際、他の職員が通帳を確認し、使途不明の金の出入りを発見しました。問い詰められた男性は横領を認めました。

 

男性は横領した金を生活費に充て、一度に最大30万円を引き出し、1ヶ月から3ヶ月後に返済していました。今年5月には全額返済済みですが、市は地方公務員法違反として、15日付けで懲戒免職処分としました。男性は「公務員として許されざる行為をし、深く反省している」と述べています。

 

また、津山市都市建設部の係長級の40代男性職員が、昨年6月から今年4月にかけて自身が役員を務める市内スポーツ団体の預金口座と会員から集めた現金合計約68万円を横領し、15日付けで停職6ヶ月の懲戒処分を受けたと発表されました。津山市の三浦英俊総務部長は「公務への信頼を損ねたことを深くお詫びし、再発防止に向けて指導を徹底します」と謝罪しました。


「組子細工」のアタッシェケース 持ち運べる伝統工芸品 真庭

岡山県の木材と日本の伝統木工技術「組子細工」を世界に紹介するため、真庭市の家具メーカーが県産の檜や杉を使用したアタッシェケースを開発しました。

 

真庭市の家具メーカーが開発した木製アタッシェケースは、縦37センチ、横48センチのサイズで、岡山県産の檜や杉など4種類の木材を使用しています。表面には釘を使わず、木を組み合わせて様々な模様を描く「組子細工」が施されています。

内蔵されたシート状のLEDライトは、専用スタンドに置くことで幾何学模様の照明としても機能します。

このメーカーは以前から木製ボディの公道走行可能な自動車や、集会所として使用できる「おひつ」型の小屋などを製作しており、今回は「持ち運べる伝統工芸品」というテーマでアタッシェケースを開発しました。

佐田時信社長は「外国人観光客が日本のお土産として、また日本から世界へ出かける人々が伝統の組子細工を携帯してもらいたい。岡山県産の木材の魅力を世界に伝える絶好の機会だ」と述べています。

このアタッシェケースは12月中旬からの販売が予定されています。


白桃「冬桃がたり」出荷始まる 立冬過ぎたこの時期が旬 総社

立冬を過ぎ、旬を迎える希少な白桃「冬桃がたり」の出荷が総社市で始まりました。

 

総社市のJA選果場では、朝早くから地元農家が収穫した「冬桃がたり」を続々と搬入しています。岡山特産の白桃の中で最も旬が遅いこの品種は、高い糖度、滑らかな肉質、豊かな香りが特徴です。春先に開花し、収穫までの長い期間と手間のかかる管理のため、出荷量は少なく、贈答用としての人気が高まっています。作業員は一つひとつ丁寧に傷がないかを確認し、センサーで糖度を測定後、4つの等級に分類していました。JAによると、今年は9月から10月にかけて気温が高く雨が少なかったため、小ぶりながらも甘い桃が育ったそうです。吉備路もも出荷組合の板敷隆史組合長は、「この時期に桃があるのは全国的にも珍しいので、ぜひ多くの方に手に取っていただきたい」と述べています。「冬桃がたり」は、東京や大阪、県内の市場を中心に12月中旬まで出荷され、昨年の出荷量約13トンを上回ることを目指しています。


岡山県 浄水場から水送る「送水管」耐震化率が全国最低

ことし1月の能登半島地震で、水道管に被害が出て広い範囲で断水が発生したことを受けて、国土交通省は全国の水道管などを対象に緊急点検を行いました。

その結果、岡山県では浄水場から水を送る「送水管」の耐震化率が全国で最も低いことがわかりました。

能登半島地震では、水道管などに被害が出て最大でおよそ14万戸が断水し、避難所で水が使えないケースも相次ぎました。
これを受けて、国土交通省は全国の水道管などで耐震化がどれだけ進んでいるか、ことし3月末時点の実態を調査し、このほど結果を公表しました。
それによりますと、岡山県は浄水場と水を一時的にためておく「配水池」をつなぐ「送水管」の耐震化率が29%と、全国平均の47%を下回り、すべての都道府県の中で最も低くなっています。
また河川から取り込んだ水を浄水場に送る「導水管」の耐震化率も13%と、全国で2番目に低くなっています。
このほか、避難所や医療機関など災害時に重要な拠点となる県内406の施設のうち、上下の水道管がともに耐震化されているのはわずか2か所と、0.5%にとどまり、こちらも全国で2番目に低くなっています。
国土交通省は、都道府県別や市町村別の調査結果をホームページで公表するとともに、来年1月までに耐震化計画を策定するなど対応を呼びかけています。


無登録投資業の会社役員ら再逮捕へ 岡山県警

福岡市の会社役員たちが、登録なしで投資業務を行い、海外ファンドへの出資金を不正に募集したとして逮捕された後、未公開株を扱う別の投資業務でも同様に無登録であった疑いが持たれています。これにより、岡山県警は12日に彼らを再逮捕する予定です。

 

福岡市の会社役員である平山敬博容疑者(37歳)を含む6人は、2019年から2020年にかけて無登録で投資業務を行い、愛媛県の男女5人から海外ファンドへの出資金を不正に集めたとして10月に逮捕されました。その後の調査で、彼らが2020年秋頃に中国企業の未公開株を扱う別の投資業務においても無登録で資金を集めていた疑いがあることが判明し、岡山県警は金融商品取引法違反の疑いで12日に再逮捕する方針を決定しました。彼らはセミナーを開催するなどして投資を勧誘し、セミナーの講師、ウェブ広告担当、資金管理などの役割を分担して資金を集めていたとされています。これまでの捜査で、全国の約900人から合計約54億円の出資金が集められていたと見られ、県警は事件の全容解明を進めています。


新見市長選挙告示2人立候補

新見市の市長選挙が10日に告示され、現職と新人の2人が無所属で立候補しました。

 

立候補者は、無所属の現職で2期目を目指す戎斉氏(68歳)と、新人で元市議会議長の石田實氏(68歳)です。

 

平成17年の大合併以来、新見市の人口は約1万人減少し、現在は約26,000人です。人口減少が続く中、JR芸備線や姫新線の存続、市内の公共交通、市中心部の活性化、少子化対策などが主な課題となっており、これらの問題を巡る議論が予想されます。投票は11月17日に行われ、当日開票される予定です。


雪舟ゆかりの宝福寺で「方丈」特別公開 総社

総社市に位置する宝福寺は、水墨画で著名な雪舟と関連のある寺院として知られており、通常は非公開の「方丈」が特別に公開されています。宝福寺は、雪舟が少年時代に修行した場所で、毎年秋の紅葉シーズンには、国の文化財に指定されている方丈を特別公開しています。

 

方丈は住職の居間であり、雪舟が描いたとされる水墨画4点が展示されています。その中の「達磨大師像」は、顔の輪郭に沿って一本一本細やかに髪の毛やひげが描かれています。また、文殊菩薩や雁を題材にした3枚の掛け軸は、墨の濃淡を用いて鳥の羽の力強さを巧みに表現しています。

 

宝福寺の小鍛治一圭住職は、年に一度のこの機会に、雪舟の水墨画を紅葉と共に楽しんでほしいと述べています。この特別公開は、10日、11月16日、17日の3日間実施され、16日と17日には修理中の「禅堂」も見学可能です。


生活保護引下げ訴訟 岡山市など自治体側が控訴

岡山地方裁判所は、国による生活保護費の基準引き下げが違法であると判断し、基準に基づいて減額を行った自治体の決定を取り消す判決を下しました。これに対し、自治体は8日に不服を申し立て控訴しました。

 

国は2013年から物価の下落を反映させる方法で生活保護費の基準額を段階的に引き下げました。これに対し、県内の受給者38人は「憲法で保障された健康で文化的な最低限度の生活が奪われた」と主張し、取り消しを求めて訴訟を起こしました。10月28日の判決で、岡山地方裁判所は国の調整が「一般低所得世帯の消費水準との均衡を維持する適切な検討や検証を行っておらず、裁量権を逸脱している」として違法と判断し、岡山市を含む5つの自治体の減額決定を取り消しました。自治体はこれに不服として広島高等裁判所岡山支部に控訴しました。

 

岡山市は「関係機関と協議した上で控訴を決定した。その理由は裁判中に明らかにする」と述べています。一方で、原告弁護団の森岡佑貴事務局長は「長い時間が経過し、原告の中には亡くなった方もいるため、問題の早期解決が望まれていた。控訴は望まなかったが、一審判決が維持されるように戦い続けたい」とコメントしています。


パリ五輪・パラで活躍県ゆかり選手 12月に岡山でパレード

パリオリンピックおよびパラリンピックで活躍した地元選手たちのパレードが12月に岡山市中心部で開催され、体操の岡慎之助選手を含む6人が参加します。

 

この発表は、7日に岡山市北区で行われたパレード実行委員会の総会で行われました。パレードには、パリオリンピックの体操男子で金メダル3つを含む4つのメダルを獲得した岡山市出身の岡慎之助選手、自転車男子チームスプリントで5位になった笠岡市出身の長迫吉拓選手と岡山市出身の太田海也選手、さらにパリパラリンピックの陸上男子車いすクラスで2つのメダルを獲得した岡山市を拠点にする佐藤友祈選手を含む、入賞した6人の選手が参加します。

パレードは12月8日に行われ、選手たちは車に乗って、午後1時に岡山市中心部の北区錦町から出発し、北区幸町の下石井公園に設けられたセレモニー会場まで約400メートルを30分かけて進みます。

下石井公園でのセレモニーでは、選手たちが入賞の喜びを語る予定です。

実行委員会の若林昭吾会長は、「岡山が元気になるきっかけとなり、県民が選手からパワーや喜びをもらい、それが選手の励みにもなり次の活躍につながる機会にしたい」と述べています。


住宅駐車場で手りゅう弾爆発させた暴力団員に懲役16年求刑

ことし4月、倉敷市の住宅の駐車場に手りゅう弾を投げ込んで爆発させたとして、爆発物取締罰則違反などの罪に問われている暴力団員の初公判が開かれました。

暴力団員は起訴された内容を認め、検察は懲役16年を求刑しました。

広島県福山市の山口組系の暴力団員・池上龍太郎被告(63)は、ことし4月、倉敷市玉島上成の住宅の駐車場に手りゅう弾を投げ込んで爆発させて、この家や隣接するアパートのガラスを割るなどしたとして、爆発物取締罰則違反などの罪に問われています。
6日の初公判で被告は「間違いありません」と述べ、起訴された内容を認めました。
検察は冒頭陳述で「被告は、対立する指定暴力団・池田組の幹部を襲撃して組織をけん制しようと考え、幹部の関係先で事件を起こした」と主張しました。
つづく被告人質問で被告は「拳銃よりもインパクトがあると思って手りゅう弾を使った」と述べました。
検察は論告を行い「住宅が建ち並ぶ場所で、手りゅう弾を投げ込むという一般市民に危険が及ぶことを顧みない極めて危険かつ悪質な犯行だ」などとして懲役16年を求刑しました。
一方、弁護側は近隣住民に対して被害弁償がなされているなどとして、10年程度の懲役が相当だと主張しました。
判決は12月18日に言い渡される予定です。


全国植樹祭で天皇 皇后両陛下が植えられた苗木を定植 岡山

今年5月、岡山県で57年ぶりに開催された全国植樹祭で、天皇陛下と皇后陛下が植えた苗木が、会場近くの公園に移植される式典が行われました。

 

岡山県で行われた全国植樹祭には、天皇陛下と皇后陛下が出席し、「お手植え箱」を使って6種類の苗木を植えました。その中で「アカマツ」と「クロガネモチ」の苗木が、植樹祭の会場だった岡山市北区のジップアリーナ岡山の近くの公園に移植されました。

5日の式典では、伊原木知事や岡山市の大森市長を含む関係者6人が参加し、苗木が真っ直ぐ育つように注意しながら土をかけて植えました。

移植されたアカマツは岡山県の木、クロガネモチは岡山市の木に指定されており、どちらも10年から20年で約5メートルの高さに成長する見込みです。

伊原木知事は「全国植樹祭は成功裏に終わり、その成果を10年後、20年後も継承していくことが重要です。森林の重要性を忘れず、移植した木が役立つことを期待しています」と述べました。


高校駅伝 男女とも倉敷高校が優勝 来月の全国大会出場

岡山県高校駅伝が3日に行われ、男女共に倉敷高校が優勝し、来月(12月)に京都で開催される全国大会への出場権を獲得しました。

 

一方、女子部門で26連覇を目指した興譲館高校は2位に終わりました。

 

この大会は井原市の井原運動公園陸上競技場をスタートとゴールとして開催されました。

男子部門では、マラソンと同じ42.195キロを7人でリレーする形式で20チームが参加し、昨年の全国大会準優勝校である倉敷高校が序盤からリードを保ち、2時間6分25秒で47年連続の優勝を達成しました。

3区を走った3年生のキャプテン、大倉凰來選手は「たすきを繋ぐことに集中して走った。全国大会では、一人一人が自分の力を最大限に発揮して完走してほしい」と語りました。

女子部門では、マラソンの半分の距離、約21キロを5人でリレーする形式で13チームが参加し、倉敷高校が最終5区で26連覇中の興譲館高校を逆転し、1時間12分22秒での初優勝を飾りました。

興譲館高校は1分30秒差で2位でした。

4区を走った倉敷高校の3年生キャプテン、川上那奈穂選手は「昨年よりもチームの絆が強まり、それが優勝につながったと思う。全国大会でも緊張せずに落ち着いて走りたい」と述べました。

倉敷高校は、12月22日に京都で開催される全国高校駅伝に出場します。


真庭 「蒜山こだわり大根」出荷・販売始まる 

この時期、日増しに寒さが増す中で、真庭市蒜山高原特産の大根が甘くなり、出荷と販売が開始されました。

 

蒜山高原では、火山灰土壌と昼夜の温度差を活かした大根栽培が特徴です。寒さが増すと大根の甘みも増すため、地元JAは「蒜山こだわり大根」としてブランド化し出荷を行っています。

市内の畑では初抜き式が執り行われ、生産者やJA関係者が収穫後に「ガンバロー」と声を合わせ、今シーズンの販売成功を祈願しました。

JAの選果場では、出荷作業が始まり、作業員が一本一本約40センチに成長した大根を丁寧に水洗いし、選別後に箱詰めしていました。

JA晴れの国岡山蒜山大根部会協議会の井藤文仁部会長は、「夏の暑さで成長が心配されましたが、今年も甘みと太さを兼ね備えた大根が収穫できました。おでんの具材等でお楽しみいただきたい」と述べています。

「蒜山こだわり大根」は11月中旬までに約100トンの出荷が予想されています。


早島町 AI使ったデマンド交通の実証実験

早島町は、高齢者の外出機会を増やし、街の活気を創出するために、AIを活用したデマンド交通サービスの導入を検討しています。このサービスは、利用者の要望に応じたルートで運行されます。11月1日からは、このプロジェクトの実証実験が開始されました。

 

実証実験では、利用者は電話やスマートフォンアプリを通じて、町内159箇所の任意の地点で乗降することができます。申し込みに基づき、提携するタクシー会社が9人乗りのワンボックスカーを派遣し、AIが計算した効率的なルートを走行します。運行エリアは町内全域で、12月28日までの間、毎日午前7時から午後5時までの運行が予定されています。町は、利用者の年齢層やルートの分析、アンケートを通じて、サービスの本格導入を検討します。

 

佐藤博文町長は、「面積7.62平方キロメートルの早島町は県内で最も小さく、コンパクトな都市に適した交通システムです。多くの町民に利用してもらい、その便利さを実感してもらいたい」と述べています。


前笠岡市長“大声で叱責音声”パワハラに該当 市の第三者委

笠岡市の前市長が在任中に職員を大声で叱責したとされる音声が市議会で公開され、市の第三者委員会が調査した結果、前市長の行為はパワーハラスメントに該当すると結論付けました。

 

この発表は31日に笠岡市が記者会見で行いました。笠岡市議会は昨年12月、当時の市長であった小林嘉文氏が「バカみたいなことを言うな、お前。ナンセンスだ」とか「どの権限で市長に向かって言うことを聞かないと言えるのか」と職員を叱責したとされる音声を公開しました。これにより、小林前市長のパワーハラスメントが疑われ、市に事実関係の調査が求められました。

市は今年2月、条例に基づき弁護士3人からなる第三者委員会を設置し、小林前市長や関係職員からの聴取を含む調査を実施しました。

その結果、市長の優越的な立場を背景にした言動が職員を軽蔑し、高圧的な態度で叱責するものであるとして、パワーハラスメントに該当すると認定されました。

小林前市長は「これらの行為は条例施行前のもので、本来公表されるべきではないにも関わらず、市が記者会見で結果を公表したのは非常に残念だ。撤回してほしい」とコメントしています。


秋の園遊会 岡山出身の岡慎之助選手も

秋の園遊会が開催され、岡山市出身の岡慎之助選手を含む招待者たちは、天皇皇后両陛下や皇族の方々と楽しい時間を過ごしました。

 

この園遊会は、東京・港区の赤坂御苑で両陛下が主催しました。招待された中には、パリオリンピックの男子体操で4つのメダルを獲得した岡山市出身の岡慎之助選手もおり、陸上女子やり投げの北口榛花選手など他のメダリストも一緒に招かれました。今回は、皇室専用の御料牧場で育てられた羊の肉を使ったジンギスカンや焼き鳥が6年ぶりに提供され、参加者は和やかな時を楽しんだということです。


矢掛 “大名行列” 50年で実行委員会と高校が協定

矢掛町の祭りが来年で50周年を迎えるにあたり、実行委員会と地元の高校が協定を結び、連携を強化することになりました。

 

矢掛町では1976年から毎年11月に、町民が参加する大名行列が旧矢掛宿を練り歩く祭りが開催されています。地元の矢掛高校の生徒がボランティアスタッフとして協力していることから、28日には高月秀人校長と堀伸二実行委員長が高校で協定書に署名しました。この協定では、生徒たちが会場設営やアナウンスなどで協力し、高校側の意見を祭り運営に反映させることが盛り込まれています。実行委員会は生徒たちのアイデアを取り入れ、祭りの新しい形を模索していきたいとしています。堀委員長は「次の50年も祭りを継続するためには若い力が必要だ」と述べ、高校生に期待を寄せています。一方、高月校長は「高校生の力で地域を活性化し、地域住民にとって矢掛高校が存在する意義を感じてもらいたい」と話しています。


鏡野町 恩原高原スキー場でリフトにいすの取り付け始まる

冬の本格的な到来に先立ち、鳥取県との県境近くに位置する鏡野町のスキー場では、リフトへの椅子の取り付け作業が開始されました。

 

この作業は、鏡野町上斎原にある恩原高原スキー場で進行中で、パノラマゲレンデにある3つのリフトの中で最も長い、全長約600メートルの上級者向けリフトに椅子を設置しています。スキー場のスタッフは3人一組で、約80キロの2人乗り椅子をリフトの下まで運び、工具を使ってワイヤーロープにしっかりと固定しました。

スキー場では、11月上旬までに全てのリフトに椅子を取り付ける予定で、試運転やブレーキテストを経て、12月21日のシーズン開始に向けて準備を進めています。

スキー場によると、昨シーズンは台風による土砂崩れと雪不足の影響で営業日数が短縮され、来場者数は例年を大きく下回る約5000人でした。しかし、今シーズンは復旧工事がほぼ完了し、例年を上回る5万人の来場者を見込んでいます。

恩原高原スキー場の所長、長瀧哲治氏は「しっかりと雪が降り、多くの人々に楽しんでいただけることを期待しています」と述べています。


衆議院選挙 岡山2区 自民 山下貴司氏が5回目の当選

岡山2区の衆議院選挙では、自民党の元議員であり公明党から推薦された山下貴司氏が5回目の当選を達成しました。

 

59歳の山下氏は、東京地方検察庁の検事を務めた後、平成24年の衆議院選挙で初当選し、法務大臣を含む要職を歴任してきました。

 

この選挙では、法務大臣としての経験を活かし、政治資金規正法の改正と党内ガバナンスの強化による自民党の改革、土地規制の改革と交通網の整備を進めて地方への投資を促すことを主張しました。自民党と公明党の支持層に加え、無党派層からも支持を集め、他の2人の候補者を抑えて5回目の当選を果たしたのです。


真庭 秋の伝統行事「久世祭り」

真庭市の秋の伝統行事「久世祭り」が開幕し、多くの観客がみこしやだんじりの巡行、そしてだんじり同士のぶつかり合いを楽しんでいます。

 

「久世祭り」は、真庭市久世地区において江戸時代から続く秋の伝統的な祭りです。

25日には、地区内の五つの神社のみこしと、9台のだんじりが商店街を巡る「五社御祭礼」という催しが行われました。

参加した人々は、氏子たちが担ぐみこしを力強く揺さぶる様子や、だんじりの上で化粧や仮装を施した若者たちが「オイサァ、オイサァ」と掛け声を上げる姿を見て、秋祭りの雰囲気を満喫しました。

夜には、地区の中心部に設けられた「けんか場」で、2台のだんじりがぶつかり合う「だんじり喧嘩」が繰り広げられました。

鐘と太鼓の音が鳴り響く中、約5メートルの長さで2トン以上の重さを持つ舟形のだんじりが激しく衝突し、「うおー」という乗り手や押し手の声が高らかに響き渡り、周囲は興奮の渦に包まれました。

「久世祭り」は26日も、午後6時から9時過ぎまで「だんじり喧嘩」が予定されています。


免許センターの車両で訓練し免許取得の県警幹部2人を懲戒処分

執務時間中に運転免許センターの試験用車両を私的に使用し、大型特殊免許などを取得したとして、岡山県警察本部の50代幹部職員2人が停職などの懲戒処分を受けました。

 

関係者によると、処分されたのは行政職の50代職員で、一人は昨年度、岡山県警運転免許課長、もう一人は理事官でした。発表によれば、元課長は昨年9月から今年1月にかけて、岡山市北区の県運転免許センターで試験用車両とコースを私的に使用し、担当職員の指導のもと、大型特殊やけん引第二種など5種類の免許を取得しました。元理事官も今年2月に同様に大型特殊免許を取得しました。

 

県警はこれを信用失墜行為として、元課長を停職1ヶ月、元理事官を戒告の懲戒処分としました。2人は事実を認め、「業務に役立つと思った」「反省している」と述べています。

 

岡山県警察本部の川口晃警務部長は「公用物品を私的に利用し免許を取得したのは不適切な行為で、深く遺憾に思います。再発防止と信頼回復に努めます」とコメントしました。


美作市長の違反と火事で臨時議会 市長提案の減給条例案否決

美作市の市長、萩原誠司氏が高速道路での速度違反と野焼きによる火災を引き起こした件について、臨時市議会が開催され、市長自ら給与減額の条例案を提出しました。しかし、議員からは「速度違反の刑罰が明確になるまで判断できない」との意見が出され、賛成少数で条例案は否決されました。

 

24日に行われた臨時市議会で、萩原市長は9月21日に兵庫県内の中国自動車道で制限速度を超えて運転していたとして兵庫県警に出頭を命じられたこと、10月21日に出頭した際には制限速度を43キロ超過しており、1か月の免許停止の可能性があると告げられたことを説明しました。また、10月14日には自宅の畑で草を焼いていたところ火が広がり、消防が出動する事態になったと述べました。

これらの件に関して、市長は11月から6か月間給料を20%減額する条例案を提案しましたが、議員からは「速度違反の刑罰が確定するまで減額の妥当性を判断できない」「次の議会までによく考え直し、再提案してほしい」との意見が出され、条例案は否決されました。

議会後、萩原市長は「市民に迷惑をかけたことへの給料減額による謝罪の意志は、議会で否決された後も変わらない。今回の件で市の業務に支障が出ないよう、公務に専念したい」と述べました。