❖輝く日本の会 環境保全部の活動

【ニホンイシガメを絶滅から救う活動】


◎ニホンイシガメの特徴

似たような種類クサガメと同所的に棲むが、黄褐色で首の横に黄緑色の模様がないことで見分けがつく。

 

大阪、京都、滋賀に生息するミナミイシガメガメは外来種の可能性が高い。見つかる場所は?池、河川、湿地、水田などに生息する。

晴れた日は水場近くの石や流木の上で日向ぼっこをしている。平地よりも山麓部に多い。

山地の水田地帯では、道路上を歩いている個体も見られる。

分布本州、四国、九州に生息する日本固有のカメ。

 

大きさ甲長13~20cm。メスはオスよりも顕著に大きい。生活史6、7月に水田のあぜや畑、河川の土手などに産卵する。

卵は2、3ヵ月で孵化し、幼体は3.5cmほどで尾が長い。ゼニガメと呼ばれる。

 

冬期になると水中の石の下や、堆積した落ち葉の中などで冬眠する。寿命は30~50年。

エサ 魚、両棲類、アメリカザリガニ、水生昆虫、貝類、ミミズ、雑草などを食べる雑食性。

 

特徴 黄色がかった甲羅が特徴。若い個体には甲羅の後縁にギザギザがあるが、40~50歳を超えると磨り減ってなくなる。

その他開発による生息地の破壊、水質悪化、ペット用の乱獲などにより生息数は減少している。

またウシガエル、アメリカザリガニ、ブラックバス、アライグマなどの外来動物に本種の幼体が捕食されることも減少の一因といわれる。

 

クサガメとの交雑も問題視されている。東京、千葉、神奈川で絶滅危惧I類、埼玉、山梨、長野、奈良、岡山、徳島、愛媛、長崎、宮崎で絶滅危惧II類に指定されているほか、合計22都府県で地方版レッドデータブックに記載されている。

  • 小さい個体には、甲羅の後ろにギザギザがある

 

●ニホンイシガメとクサガメとの異種間交配

ウンキュウとは、ニホンイシガメとクサガメの交雑種のことを指します。名前の由来にはいろいろな説がありますが、中国語で陸上や淡水に生息する亀を意味する「烏亀(ウーグェイ)」が変化して「ウンキュウ」と呼ばれるようになったと言われています。

種間の交雑によって生まれる交雑種では、一般的には繁殖能力が失われていることが多いのですが、ウンキュウでは繁殖力をもつ個体が多いという特徴があります。そのためウンキュウ×ウンキュウ、ウンキュウ×ニホンイシガメ、ウンキュウ×クサガメといったペアからも子供が生まれてしまい、遺伝子がどんどん混ざることになります。つまり純粋なニホンイシガメやクサガメの減少につながってしまうわけです。

またイシガメとクサガメの交雑種だけでなく、ニホンイシガメ×ハナガメで「ハナウンキュウ」、モロッコイシガメ×ウンキュウで「もろきゅう」などという交雑種もいるようです。これらは自然下で発生しているものというよりはブリーダーが作出しているようですね。個人的には、雑種を意図的に作り出すような行為は生き物で遊んでいるように感じられてあまり好きではありませんが…。

 

ウンキュウの特徴

ウンキュウにはイシガメの特徴が強く出た個体(イシガメ型)とクサガメの特徴が強く出た個体(クサガメ型)がいます。上に書いたように繁殖能力があるため、イシガメとクサガメのハーフのみならず、クォーターやそれ以下の交雑率の個体も生まれ、そのような個体では血が濃い方のカメの特徴が強く現れます。

 

ウンキュウはその珍しさから以前は「幻の亀」と呼ばれ、高値で取引されていたこともありました。その場合にはブリーダーがイシガメとクサガメを掛け合わせてウンキュウを生まれさせていましたが、今では野生下でも多くのウンキュウが見られるようになってしまいました。これは生息環境の変化や外来種の存在により、これまであまり交わることのなかったイシガメ・クサガメの生息域が重なり始めているからと考えられてます。

 

ウンキュウのような雑種が、人間の飼育下のみで楽しまれるのと野生下で生まれてくるのは全く異なる意味合いがあります。野生下でウンキュウが増えることは、純粋なニホンイシガメの減少にもつながる、生態系にダメージを与えうる現象です。この点については、今後より詳細な調査がされると良いのですが…。


◎最後に ニホンイシガメの未来のために!

人間の都合のいいように外来種を持ち込み、勝手な都合で自然の中に放されて数を増やした今、それによって数を減らしている命があります。もし、このままの状態にしておけば、更に数を減らし、最悪の場合、いずれは絶滅してしまう可能性があります。生き物を愛する人々にとって、それは最悪の未来。その未来が現実となってしまってからでは取り返しがつきません。だからこそ、今からでも出来ることをして最悪の未来を回避しなければなりません。

 

今述べた内容は、誰にだって口にすることができます。例え動物に興味がない人間でも、過去にアカミミガメやアライグマを捨てたことがある人間でも、口にすることができます。口でなら、何とでも言えるのです。心からその動物を救いたいなんて微塵も思っていません。

では、本当にイシガメを救うにはどうしたらよいのでしょうか。現在、イシガメを救うことに繋がる活動として、環境省がミドリガメ(アカミミガメ)に関する様々な規制を発表しました。これは2020年を目途に、アカミミガメを輸入禁止にし、同時にアカミミガメの飼育も規制するものです。

この規制は、日本固有種のイシガメを救うという理由だけでなく、他にも様々な理由がありますが、この規制によって将来的にペットショップでミドリガメ(アカミミガメ)を見ることが無くなるでしょう。他にも、今後の対策として、アカミミガメを野外への遺棄の防止、野生のアカミミガメの駆除等を総合的に実施していくため「アカミミガメ対策推進プロジェクト」を進めています。

ネット上では、「対応が遅い」などの批判意見が多いですが、これは「一度に規制を強化すると、捨てられるカメが増え、逆効果になる」といった理由で、「規制の導入が逆にカメを捨てることにつながらないよう飼い主の理解を得ながら進めていきたい」と環境省の北村副大臣は話していました。

実際に、「アカミミガメ(ミドリガメ)を『特定外来生物』に指定することを環境省が検討している」という報道があってから引き取りが急増しており、いかに無責任な飼い主が多いことが伺えます。 このように、現時点でもアカミミガメに関する具体的な対策は取られており、今になってようやく国が動き出したという形になっています。

しかし、国に任せてばかりではいけません。私達一人一人がイシガメの現状と外来種による影響を理解し、意識を持つことが必要です。そのようにして意識を持つことで、外来種の飼育をするかしないか、イシガメの為にどのようなことができるか、そういった考えを持つようになって、いずれはイシガメが日本の自然の中で生きていく昔のような日本を蘇らせたいです