特集【岡山県吉備中央町上水道水汚染問題】

PFAS濃度 目標値上回る 吉備中央の水源、県の4月調査

岡山県吉備中央町の円城浄水場(同町上田西)から有害な有機フッ素化合物(PFAS=ピーファス)が検出された問題で、岡山県は26日、定期的な水質検査の結果、浄水場の水源の沢から国の暫定目標値(1リットル当たり50ナノグラム=ナノは10億分の1)を上回る高濃度が引き続き確認されたと明らかにした。

 

 県は沢のさらに上流にある資材置き場(同町上田東)が発生源との見方を強めており、土壌からPFASの溶出が続いているとみている。県議会環境文化保健子ども福祉委員会で説明した。

 

 県によると、最新の4月中旬の調査で、沢から検出されたPFAS濃度は国の暫定目標値の200倍に当たる1万ナノグラム。サンプル採取の数日前に降った雨の影響を受けたという。他に複数の地点で目標値を超えた。

 

 検査は問題が発覚した昨年10月以降、県が周辺の河川などで2カ月ごとに実施している。


「希望者へ血液検査」 吉備中央町PFAS 町が基本方針

 岡山県吉備中央町の円城浄水場の水から有害な有機フッ素化合物(総称PFAS)が検出された問題で、町は22日、給水を受けた円城地区の住民に公費で血液検査を実施すると発表した。原則希望者全員を対象とする。

 円城浄水場の水は昨年10月の問題発覚後、飲用としての利用が11月22日まで止められていた。検査の対象はこの日以前に同浄水場の水を飲んだ住民約1千人。いつ飲んだかは厳密に問わず、現在は住んでいない人などにも柔軟に対応する。実施時期など詳細はこれから決める。

 検査は、今月15日の識者による第三者委員会の報告を受けたもの。妊婦や子どもへの健康対策などを求める三つの提言がされたが、血液検査は別記扱いに。

 健康影響を評価しやすくなるかもという利点と、医療的低減策が確立されていないという懸念点が併記され、町の政策決定の判断材料と位置づけられた。

 山本雅則町長は22日の会見で「専門家の意見と住民の思いを総合的に判断した」と強調。検査は1回限りではなく、数年後にも実施してPFAS低減を確認してもらいたいという。「結果を知ってより不安になるかもしれない。利点と懸念点を知った上で検査するかを判断してもらいたい」と話した。